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zoom RSS 原付との比較で考える自転車の明日

<<   作成日時 : 2018/11/20 16:08  

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昨年、自転車活用推進法が施行された。
そこには自転車のメリットが列挙されており、車依存を低減するとともに、自転車の活用を推進していく旨が書かれている。
現在、街中で施策の主軸になっているのは、自転車ピクトグラムや矢羽根、そして自転車専用通行帯である。
有識者からは、「クルマと同じ」「自転車ではなくオートバイで考えてみれば分る」「自転車だけが甘えるな」といった言い方で車道通行の徹底が呼びかけられている。(※1)
車道を走ることにより、移動速度、航続距離は上がり、クルマの代用として大いに自転車が活用されていくという。(※2)

本当にオートバイがお手本で、そして車依存が減っていくのだろうか?

すでに、例外なく車道を走っている自転車と名の付く乗り物がある。

原動機付自転車だ。
原付は車道を走る自転車と比較すると速度、航続距離に優れ、漕がなくてよいなどの便利な点があり、クルマより燃費は大幅に良い。
クルマの免許を持っている人は全員が原付の免許を持っているにもかかわらず、利用者からは不満が多く、台数は減少の一途をたどっている。
今回は自転車と原付一種(50cc以下)の比較をしながら、自転車活用の明日を考えてみよう。

まず、通行方法、右折について比べてみる。
自転車はどんな場所でも、必ず面倒な二段階右折が必要になる。
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一方で原付は信号の無い交差点では二段階右折をする必要はない。
路外の駐車場に入る場合、出る場合も同様だ。
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いうまでもなく世の中、信号の無い交差点の方が圧倒的に多く、それらの場所で原付は普通の右折(小回り右折)が許されている。(標識などで禁止されている場合を除く。)

さらに、信号のある交差点でも片側2車線以下であれば小回り右折できる。
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国道や、○○街道といった幹線でも片側2車線の交差点はたくさんあるので、一回の信号待ちでスムーズに右折できることになる。
片側3車線以上であっても立体交差であれば小回り右折できる場合が多く原付にとってメリットがある。
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ここまででも、99%以上の交差点で、自転車と原付の通行方法は異なるが、それだけではない。
二段階右折を禁止する標識がある場合だ。
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例えば東京都港区で、二段階右折を禁止する標識があるのは、以下のとおり。
三田一丁目・三田二丁目・三田四丁目・三田通り交番前・三田・外苑前・青山二丁目・南青山一丁目・赤坂見附・紀之国坂・赤坂一丁目・米国大使館前・日本学術会議前・青山橋・西麻布保育園前・古川橋・蓬莱橋・汐先橋・汐留北・八千代橋・愛宕一丁目・八山橋・清正公前・白金高輪・白金台 (私調べ。他にもあるかも。)

逆に二段階を指示する標識は、数が少ないらしく発見できなかった。

二段階右折を禁止する標識がある場所は、パターンがある。
丁字路や多差路などの変則交差点だ。こういった場所は信号の待ち時間が長かったりするので、小回り右折できると恩恵が大きい。


半蔵門交差点を例にとると、3車線以上あるため本来なら二段階右折が必要であるが、それを禁止する標識が2方向に設置されている。

標識の設置基準は公開されていて(※3)、この場合は「安全な滞留スペースが確保できない」と判断されたわけである。
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そもそも、なぜ原付に二段階右折の義務が生じるかと言えば、速度が劣るため、車線変更自体に危険が伴うからである。
にもかかわらず、この標識でそれを逆に禁じているのは、滞留の危険性がそれを上回るという判断だと思われる。
自転車は、その禁止されている通行方法をとることになる。
むしろ通行すべき場所であることを明確にするため、半蔵門交差点でも、ナビマークが設置された。
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次に右折以外の通行方法をみてみよう。
まず片側1車線道路での通行位置が自転車と原付では異なる。
自転車は道路の左側端。(※4)
原付はクルマと同様に道路の左側に寄ればよいことになっているので、後続の妨げになっていなければ堂々と流れに乗って走行することができる。
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交通事故総合分析センターでは、原付に対し、極端な左端走行は、相手から見落とされ易いので避けるように呼びかけているが(※5)、自転車はそれに近い場所を走ることが実態としても多い。

進行方向の通行区分がある場合については、原付は通行区分に従っての走行となる。(二段階右折時は例外)
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自転車の場合、左折専用レーンがある場合でも、そこを直進しなければならず、多くの人が危険性を指摘しているが、直進時の原付にはそのような危険性は無いし、無意味な左折渋滞にはまる必要も無い。
二重の左折レーンとか、常時左折可や高速入り口用の左折レーンがある場合でも、クルマと同じように本来の直進レーンを直進できる。(※6)

転回時については、車線数がいくつあろうとも、二段階右折のような動きをする必要がない。(もちろん転回禁止などの他の規制があればそれに従う必要がある)(※7)
2012年からは右折矢印の信号でも転回が可能になり、安全性が増した。
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自転車と原付の通行方法の違いは他にもあるが、主だった事はこんなところである。
「オートバイで考えてみれば分る」という考え方を採用するのであれば、自転車の車道左側通行は、危険を伴い、時には禁止されている通行方法ということになってしまう。

だったら、自転車だって原付のように走ればいいじゃないか。と思う方もいるかも知れないが、原付には車道を走るために、自動二輪に準ずる保安装備がついている。
例えば、右車線に入るために、後方を確認するためのミラーや合図を送るウインカー、減速を知らせるストップランプである。
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自転車にも付いている装備はあるが、その性能が大きく異なる。
自転車のライトは、電池式でなければ止まれば消えてしまうし、点いていても明るさが全然違う。
バイクは見落とされやすいことから、20年前に保安基準が変更され、昼間でも消灯できない仕様になった。(輸入車などの例外あり)
警音器にしても音の大きさが全然違う。
長く原付に乗っている人なら、危険な場面でホーンをならして気づいてもらい、危機を回避した経験が一度や二度はあるだろう。
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原付自体だけでなく、乗る側にも違いがある。
例えば、車線を変更するには黄色や白のラインの意味を知っていなければならないが、原付利用者はそういったルールの試験や、標識、標示を確認するのに必要な視力の検査もパスしている。
これだけ違えば、自転車が原付のように走れないのは当然であり、むしろ、保安装備の劣る自転車については、自転車ならではの通行環境、方法を用いることで安全性を高めていく必要があるのだが、そうはなっていないように思える。

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ここまで制度上の違いについて話してきたが、性能の違いも存在する。
大きく違うのが出力であり、原付は最高速度は劣るものの、発進時の加速ではクルマに負けていない。
体力に関係なく、機敏に動く事ができて、ある程度まではクルマと混在して走る事ができる。
原付の初心者講座では発進、合流時について、後続車がいる時は30km/hまで一気に加速して流れにのることを教えている。(※8)
ここまで説明してきた、小回り右折や転回、高い性能を組み合わせれば、多くの場面で自転車よりも高い利便性で移動できる。
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実際にピザ屋などの原付は、このような動きで迅速な配達を可能にしている。
下図のような、「クルマと同じ」として推奨されている自転車の動きとは全く違う。
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自転車は転回したい場合は、車道全体を横断する必要がある。
横断前、横断後は道路端で停止するか、著しく速度を落として向きを変える必要があり、前述した二段階右折の滞留の危険性がある。
交通量や道幅にもよるが、横断歩道や信号のない場所での横断は危険が伴い事故も多いことから、安全に横断できる場所まで迂回せざるをえない。
迂回するルートをとる場合でも、人力で動く自転車と原付とでは、労力、速達性が違う。
買い物や所用に使われ小回りが重宝されているのに、車道通行を守った場合、原付やオートバイよりも融通が利かなくなるといっていいだろう。

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では、そんな原付は、好評で多く利用されているのかと言えば、答えはNOだ。
そもそも乗用車や自転車は、それぞれ7000万台以上保有されているが、原付ははるかに台数が少ない。
1986年にヘルメットが義務化され、利用者が激減したといわれているが、さらにその後も継続して台数を減らし続けている。(※9)
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二輪車だけを見た場合、原付の占める割合は他より高いものの、やはり低下を続けており、逆に50ccを超えるバイクが好調な中、絶滅危惧種とさえ言われている。

原付一種は利用者からは不満が多く、中でも速度30km/h規制、二段階右折にはキレ気味で評論をしている方が多いので、少しだけ紹介しよう。
まずはバイク雑誌の編集長の記事から。

「バイク歴ナシ&中級までのHow to&楽しみ方発見マガジンタンデムスタイル」
実感! 原付1種がこれほど虐げられているとは…
https://www.tandem-style.com/column/20978/
法定速度の30km/hで走ることになるのだが、それ自体がまず恐くて仕方ない。僕もプロのレーサーではないが、一応この仕事を15年以上やってきている。人並みぐらいにはバイクを扱えるようになったつもりだが、そんなスキルを持ってしても流れの速い幹線道路を時速30kmで走ることに恐怖を感じる。

全てを引用する事はできないが、続く文章で、安全のために30km/h以上の速度を出して走行している事を告白している。
原付の30km/h走行が守られていない、という声は他にもたくさんあった。
歩道通行こそ見かけないが、そんな面倒な事をしなくてもアクセルを開けば利便性が簡単に手に入るのがクルマやオートバイである。

次に紹介するのはオートバイパーツメーカー代表の方のブログ
「バイクガイドな日々」より http://bike-guide.info/
トロトロと30km/hで走行していれば後続の車のドライバーはイライラし、右車線が開いた瞬間に恐ろしい勢いで追い抜きし 酷い場合はギリギリで左車線に戻ってきて嫌がらせをしてくるドライバーもいる。
上記は私の実体験である。今のご時勢で原付の30km/h規制、二段階右折はやはりおかしいと思う。


原付をテーマに毎回いろいろな記事を書いている愛好家のブログ
「たかが49cc されど49cc」から抜粋 http://eimaru.sakura.ne.jp/49cc-talk/2dankai.htm
・二段階右折してる人って、まず見かけない
・よくもこんな恐ろしいことをさせるなぁと思いますよ。


逆に原付二種(50ccを超え125ccまで)は、一種よりも価格や維持費が高くなるにも関わらず、勧める声が多く台数も増加傾向にある。

原付二種(ピンクナンバーのバイク)が街乗りには最高!圧倒的に便利な7つの理由とは?https://moori.musyozoku.com/post-4668/
原付二種になぜ乗るのか?
そう聞かれたらまっさきにこう答えます。
原付の規則に従う必要がないから
原付には他のバイクや車にはない特別のルールがあるんです。
例えばこんなものが原付だけに課せられているルール。
[最高速度30km 二段階右折]
実際に原付で道路を走ると分かるんですが、このルールはかなり厄介なんです。とにかく面倒くさい!


他に原付が減っている理由として、電動アシスト自転車を選択する人が増えたという見方も有力だ。(※10)
電動アシスト自転車は、速度を上げるとアシスト力が徐々に弱まり24km/hで補助はなくなる。
車体が重いため高速で巡航するには向かない自転車で、街で見ていても特に車道走行率が高いという事もなさそうだ。
利用者のニーズが、必ずしもスピードや航続距離ではない事が窺える。

ついでに付け加えれば軽自動車も保有台数が伸びている。(※11)
2005年頃、乗用車の台数が漸減傾向に入ったため、自動車全体も減少し始めたが、2011年頃から軽自動車の販売が好調になり、自動車全体の保有台数を押し上げる形が続いている。
軽自動車といえば四輪車の中では、自転車と利用範囲が近い車種と言える。
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自転車の進化がゆっくりであるのに対し、クルマの進化は目覚しいものがある。
自動ブレーキ、レーンキープ、踏み間違いサポート、難しい駐車の支援などに加え、衝突後の安全性能も向上している。
今まで運転に自信がなくて、自転車を利用していた主婦などが、安心感から逆にクルマに転向するケースもあり得るのではないだろうか。
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話が広がり過ぎてしまったが、自転車が車道だけを走った場合、不評の二段階右折をする機会は原付より多く、怖いと言われる30km/h走行よりもさらに遅い速度での走行となる。
自転車もクルマの仲間だから車道走行と言われるが、つまるところ、こんな走り方をしているクルマの仲間は他に存在しない。
一番近い原付でさえ、多くの場所で通行方法が違い、利便性は一歩上を行く。
それでも不評で、保安装備が充実していながらも、怖いと言う声があり、危険性を指摘され、ルールが守られているとは言えず、なおかつ利用者の減少が深刻である。

乗り物の利用率は、景気、ガソリン価格、税制、環境意識など無数の影響を受けるため、とても先を読み切るようなことはできないが、自転車に対するヘルメットの着用や保険の義務化、車道走行の徹底などは原付の性格に近づく方向に進んでいるように思える。
それぞれの是非にここでは踏み込まないが、自転車利用の促進という側面から見た場合、自転車を利用する人が減って、クルマの利用者が増える可能性は十分にあると思う。

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脚注

(1)自転車の安全鉄則 (朝日新書) 疋田 智 P104の内容や、
横浜市 みんなのサイクルルールブックよこはま P15など
http://www.city.yokohama.lg.jp/doro/kotsujitensya/cycle-rulebook/rulebookfull.pdf

(2)自転車の安全鉄則 (朝日新書) 疋田 智 第一章の内容から

(3)交通規制基準 警察庁Webサイト P139
第41 原動機付自転車の右折方法(小回り)
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20170424.pdf

(4)JABLaw代表理事のブログ
自転車専用通行帯と原付
http://blog.jablaw.org/?eid=1074681

(5)原付は相手から 見落とされやすい - 交通事故総合分析センター
http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info75.pdf

(6)くるまのニュース
第二通行帯走行はNG 原付バイクの走る車線と、走れない道
ただし、「指定通行区分」がある道路については、
https://kuruma-news.jp/post/101208

(7) GooBikeマガジン
原付バイクにおける二段階右折の正しいやり方
https://www.goobike.com/magazine/ride/rule/9/

(8)初心者講座9:原付のアクセルワークについて【リクエスト動画】
https://www.youtube.com/watch?v=U4CtSD3K5OA

(9)日本自動車工業会 二輪車保有台数(各年3月末現在)
http://www.jama.or.jp/industry/two_wheeled/two_wheeled_3t1.html

(10)ライブドアニュース
原付バイクの需要が激減 このまま消えてしまうのか
http://news.livedoor.com/article/detail/12114894/

(11)ガベージニュース
100世帯で54.35台まで増加…軽自動車の保有台数と世帯あたり普及台数をグラフ化してみる(最新)
http://www.garbagenews.net/archives/1966635.html

※本文中の原付のルールについては、市販のテキストなどで容易に確認できるものについては、特に条文を示さなかったが、そうでないものについては、わかりやすく解説しているサイトを脚注に掲載した。


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私の自転車に関するブログ記事です。

↓自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓車道の自転車は認知されやすく安全性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_1.html

↓歩道通行の自転車にメリットは無いのか。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓有名なあの図を検証する。
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

↓自転車左折事故の定説が信じられない7つの理由
http://otenbanyago.at.webry.info/201609/article_2.html

↓150件の自転車死亡事故を分析する(1)
https://otenbanyago.at.webry.info/201703/article_1.html

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