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zoom RSS 交通量調査にみる、自転車ナビマーク、ナビラインの影響

<<   作成日時 : 2018/06/03 22:01   >>

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昨年の3月頃から、都内の幹線道路を含む多くの場所で自転車ナビマーク、ナビラインがペイントされはじめ、普通に目にする様になった。
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ナビマーク、ナビラインについて、有識者からは、次の様な効果が述べられている。

・クルマの平均スピードが落ちる。
・自転車の逆走が減る。
・クルマが自転車を意識し空間をあけて走ってくれる。
・自転車利用者が危険に感じる事が減る。
・交差点をまっすぐ直進できるためストレスがない。
・ナビライン上を走ると安全性が高い。(巻込み事故防止の効果)

書籍『新・自転車“道交法“Book』では上記のような効果を理由に、
「ペイントされる場所によってメリットの多寡はあるが、おおむねものすごくイイコト」(疋田智)
「何はともあれ路上に描け!」(小林成基)と高く評価されている。
ただし、一般の人やマスコミの間では賛否両論のようで、特に幹線道路の場合、否定的な意見が目立つ。(ナビマーク+危険で検索)

ナビマークは、法定外表示であり、強制力は無いものの、「本来の通行場所である車道を走るよう促す」意味があると言うし、日テレNEWS24より実際に走りやすくなるのであれば、自然と車道通行率がUPしていてもよさそうなものである。

警視庁では、平成25年以降毎年10月または11月の平日に、環七通り(通称:環七)における、歩道、車道の自転車通行台数を調査していて、翌年に通行比率を発表している。これがどう変化しているのかを調べてみた。
ただし、残念ながら車道逆走の自転車については調査が行われていない。
環七は東京の区部を囲む様に走っている幹線道路で、調査は交差点20箇所、12時間の都心方向への出入りを計測している。都心へと向かう街道との交差点なので通勤の自転車も多いと思われる。
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下は順に平成25年、28年、29年の調査結果である。
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(出典:警視庁交通量統計表 それぞれの年の資料編、最後の方に掲載。  http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/jokyo_tokei/tokei_jokyo/ryo.html

平成25年から5年間の車道通行率の推移を、私の方でグラフにしたのでご覧いただこう。
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(警視庁資料を基に管理人作成)
平成25年頃は25%を少し超える割合であったが26年以降減っていき、28年と29年は、両年とも22.1%と減少している。
警視庁資料においても、「約7割」としていた表現が「約8割が歩道通行」と変更されている。
次に割合ではなく自転車台数で見てみよう。
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ここ2年間は車道通行自転車が減少している事が分かる。天気の影響も疑ってみたが、晴れか曇りかで、雨が降ったりはしていない。
ナビマークやナビライン上の通行を呼びかける看板が立てられたり、「自転車は車道が原則」という広報が盛んに行われていたり、スポーツ車の販売台数の増加、自転車通勤ブームなどの話も耳にしているので、この結果は少々驚きである。
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ナビマークが環七付近に施工され始めたのは、平成29年3月頃からなので、同年の10月の調査に影響がでても良いはずである。

余談だが、「車道を走る自転車が増えているが、自転車事故は減っている」として車道通行の安全性を主張する人もいるが、今回のデータでは、車道を走る自転車はむしろ減少傾向で、その間、都内の自転車事故は激減している。事故の増減は様々な要因が織り成す結果であって、都合の良い因果論には要注意だ。

次にナビマーク、ナビラインが設置された場所だけに絞って、ビフォーアフターである平成28年と29年の調査結果をグラフにしてみた。
(平成29年のナビマーク、ナビラインの施行状況については、同じ資料(平成29年資料編P45〜)に掲載されている。それによれば環七の調査対象交差点20箇所のうち、ナビラインが設置された交差点は4箇所、ナビマークは部分的にペイントされているケースも含めると16箇所、調査対象である都心部方向に設置されたのは6箇所である。下のグラフは平成28年資料編P35、平成29年資料編P36より、該当する道路の自転車交通量から算出した。)
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ナビマークが設置された道路では、車道通行の自転車が逆に6ポイント減少する結果となった。
ナビラインが設置された交差点では僅かに車道通行する自転車が増えているがほとんど変化無く、また割合も1割程と低い。
実際に観察してみると、さらにナビラインを走る自転車は少なく、恐らく、5%程度だと思われる。車道を走行して交差点に流入しても、横断歩道を利用する自転車が少なくない事と、警視庁の調査では車と同方向に走る自転車しか計算に入れておらず、ここまで述べてきた調査結果には、半分くらいの歩道通行自転車が反映されていないためである。
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(詳しくは以前のブログ参照→自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する(1) 恣意的な国交省報告

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たった12時間だけの比較では、正確ではないと思う方もいるだろうが、国交省が発表している各種自転車レーンやナビラインの評価も、ほぼ同様のものである。(例えば国道246号の自転車ナビライン検証資料
私は、あまり小さな数字の動きで大きな事を言うつもりはないが、以下は今回の統計を見ての感想である。

■ナビマーク、ナビラインの設置で大きな変化はみられない。
※車道逆走については、調査されていないため、なんとも言えないが、もともと、これらの主要幹線道路では、非常に少ない。いくら安価に設置できるといっても、はやくも、消えかかっている場所もあり、費用対効果としても検証される必要がある。
■この5年間を見る限り、歩道通行から車道通行へ移行している様子はない。
■依然として歩道通行が圧倒的に多い。
■自転車利用者の増加はみられない。


ナビマーク、ナビラインは、これから徐々に浸透していき、その上を走行する人が増えていくという見方もあるだろうが、私は逆の可能性も想定している。
さまざまな道路上のペイントや看板などが、「気にしなくても問題のない物」という認識で広まり、目に馴染んでいくのではないか。
環七で時間をかけて観察してみたが、歩道通行の自転車は、子供、お年寄り、幼児同乗の親御さん、学生、サラリーマン、スポーツ車の若者と幅広い。
写真には撮れなかったが警察官も歩道通行であった。

↓ナビラインではなく、自転車横断帯があった場所を通る自転車。
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現在では、ナビマークや看板、広報が行われているので原則車道通行である事は、ほとんどの人が知っている。
その上で多くの人が、歩道を選択している事実がある。
有識者の書籍には、歩道上の自転車施策に対し、「自転車に乗らない人が考えた」と厳しく非難しているものがあるが(『自転車の安全鉄則』など)、歩道通行の是非は別として、むしろこれらの幹線では、車道通行は自転車利用者に支持されていない。
自転車に関する施策は、有識者による、車道は歩道よりも何倍も安全という、大変疑わしい理論をベースに推進されてきた。(過去のブログ、または古倉宗治氏の書籍などを参照)
車道の危険性、そして利用者の声に真摯に向き合う事を避けた結果、有識者と実際の自転車ユーザーとの感覚に大きな隔たりが生まれ、それが数字になって表れていると言えるだろう。
自転車活用の機運が盛り上がっているが、自画自賛の施策では、活用どころか利用者が減っていくのではないかと危惧している。

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私の自転車に関するブログ記事です。

↓自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓毎日新聞を検証(1)
ほとんどが歩道からの事故というのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

↓自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓車道の自転車は認知されやすく安全性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_1.html

↓歩道通行の自転車にメリットは無いのか。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓有名なあの図を検証する。
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

↓自転車左折事故の定説が信じられない7つの理由
http://otenbanyago.at.webry.info/201609/article_2.html

↓国道246号自転車ナビラインの効果を検証する
https://otenbanyago.at.webry.info/201809/article_1.html

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