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zoom RSS 150件の自転車死亡事故を分析する(1)

<<   作成日時 : 2017/03/01 00:43  

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 14 / トラックバック 0 / コメント 0

自転車において車道通行の方が安全性が高い事を示すデータはいくつもあるのだが、もっとも有名でインパクトがあるのは、やはりこの図であろう。
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↑京都・新自転車計画 P24
http://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/cmsfiles/contents/0000179/179704/keikaku.pdf

以前にも、この図を検証し疑義を呈してきたが、その中で私は、このタイプの事故は重篤な事故になりにくいのではないかと述べた。
それは、この図のような自転車事故をニュースで見たことがないために思った事なのだが、根拠としては弱いため、今回はこれを検証してみたい。

検証方法は以下の通り。

現在、警察のホームページにおいて、交通安全に役立てようと、一定期間に発生した死亡事故の概要を公開している。
47都道府県のうち、事故概要を掲載している県警は岩手、新潟、長野、千葉、愛知、香川、徳島、それに東京(警視庁)である。
それぞれ掲載している事故の発生期間がバラバラであるが、分析に使用できるものを全て集め、例の出会い頭事故により何件の死亡事故が起きているのかを調べてみる。
2月25日の時点で閲覧できる自転車が関係する死亡事故の概要は合計150件であった。
150件というと、自転車事故の年間死者数のおよそ4分の1にあたる。
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香川県は写真と文章などで事故の概要を説明している。
徳島県は2月25日の時点で自転車に関する事故が掲載されていないため含まれていない。
リンクなどはブログの最後に掲載する。
また、多くの場合引用元に事故類型の記載が無いため独自に分類した。


結論から言うと冒頭の図の事故パターン、歩道のある道路において脇道や駐車場から出てきたクルマと衝突して人が亡くなった事故は3件である。
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念のため歩道が無いケースも調べてみたが、センターラインのある道路を通行する自転車に対し、脇道から出てきたクルマとの死亡事故は1件もなかった。
150件中の3件なので2パーセントと言う事になる。
「ニュースで見た事がない」という私の記憶もあながち的外れではなさそうだ。

自転車有識者の一人、疋田智氏はこの事故パターンを説明し、「その結果、2日に1人程度のペースで、日々ママチャリ族が亡くなっている。」(週刊 自転車ツーキニスト574)として、歩道の危険性を力説している。2日に1人というと年間約180人となり、にわかには信じられない数字だが、どのように算出しているのだろうか?

逆に、後方からの引っかけ事故は、有識者の間で以下のように捉えられている。
『車道の自転車は、クルマから「邪魔だな」「危なっかしいな」と思われるかもしれない。だが、邪魔だなと思えるのは、見えていることの証拠だ。そして、見えているものには、人は対処できるのである。』(疋田智 週刊 自転車ツーキニスト575
「車道で後ろから引っかける事故は少ない」(古倉宗治 公明党HP
「車道を走ることにより接触された事故(追越し、追抜き)はわずか2%と少ない。車道通行の自転車が少ないことを考慮しても十分小さい数字である。」 元田良孝 日本の自転車交通の混迷 時代遅れの道路交通法、歩道通行の大罪.

このように「少ない」と評される後方からの引っかけ事故であるが、皮肉な事に決定打であるはずの冒頭の図よりも、はるかに多く死者を出している。
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後方から来たクルマによる死亡事故は19件。
そのうち、歩道または側道がある車道では12件であった。(片側のみの歩道を含む)
警察庁の事故統計によれば追突・追越・追抜時の死亡事故は2014年85件、2015年68件なので、その4分の1と考えると妥当な数字と思われる。
毎回言うように追突は、致死率が非常に高い
そして、自転車側の違反なし率が高い事や、車道を通行する自転車の方が少ない事も勘案して数字を読み取って欲しい。

あの有名な図による死亡事故が3件。
死亡事故に限った数字とは言え、私の想像では冒頭の図のケースはもっとあると思っていた。
それは、あの図を見せられる前に必ず語られる、「自転車事故の7割は交差点で発生しており、中でも出会い頭事故が多くなっています。」という言葉と、幹線道路と脇道の交差点での事故が多い事が下のような図で、あるいは言葉で語られた上で見せられるからだ。
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(出典:冒頭の図と同じ資料のP20)
幹線道路と脇道の交差点は2位にランキングされているが、1位は歩道の無い細街路なので歩道のある場所だけを考えた場合、オレンジ色の円で囲まれた場所は最も事故の多い場所という事になる。

このランキングはウソなのか?
いや、私の今回の検証においても、この脇道との交差点は事故多発箇所なのだ。
どういう事かと言うと、まず事故の起きている場所を表すオレンジの円がおかしいのである。
脇道の「交差点」と言えば道交法上、オレンジの円ではなく、下図のように私が書き加えた赤い円の部分(道路が交わる部分)を言う。
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この場所で発生している事故を見ていただきたい。
典型的なもの1件を拡大して説明したい。全部で31件ある。

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写真のものはどういう事故か分かりづらいが、いずれも自転車の方が脇道から出てきたケースである事が引用元の情報で分かる。
横断中じゃないか、と思われる方もいるかもしれないが、自転車は車両なので歩行者と違い、警察の分類上、そのほとんどが出会い頭事故になる。
香川県のサイトには、それぞれの事故類型が書かれているので、それを確認できる。
31件中28件は自転車側が優先道路を横断しようとして、はねられたものと思われる。

つまり、
・自転車事故の7割は交差点
・出会い頭事故が多い
・幹線道路と脇道の交差点で多い

これらは全て本当だが、それは冒頭の事故ケースとは限らないという訳だ。
今回の分析は死亡事故だけであって事故全てではないものの、このことはどちらにもあてはまる。
有識者によって広められている、
出会い頭事故が多い→幹線と脇道の交差点で多い→冒頭の図を提示。
そして、「引っかける事故は少ない」、などとして片付ける。(前述の疋田智、古倉宗治、元田良孝のページなど)
この論法は、真実よりも有識者の意図を優先させた詭弁のように思えて仕方が無い。


続いて生活道路の交差点の事故例も見てみよう。
※幹線道路なのか生活道路なのかは、事故概略図をみても分からないため、私はセンターラインのある道路を幹線、無いものを生活道路(細街路)として分類した。
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これも14件中10件は自転車側に停止標識、または停止線がある。
クルマ側に停止線があるのは僅か1件。
ただし双方の違反状況が分からないため事故原因や、過失割合には言及できない。例えば、一時停止したかどうかも図をみても分からないし、生活道路を速度超過をして飛ばしているクルマも多く見かける。
少なくとも交差点死亡事故については危険な事故パターンが、顕著に存在するという事だけは言えると思う。

ここで今回調べている自転車死亡事故150件の内訳を円グラフにしてみた。
※本来、追突事故や単独事故は交差点や単路での事故に含まれるが、ブログの内容に合わせて独自に分類した。
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信号交差点など他の事故ケースについては、また別の機会に扱いたいが、信号のある場所や単路においても、ほとんどが自転車側の幹線道路横断中の事故である。
単独事故は本人の責任が大きいであろうし、このようにしてみると、私の感想としては、追突事故だけがルールを守ってもどこで発生するか分からず、例えるならば、車道上に潜む見た目では分からない、命を奪う落とし穴のようなもの。
それに対し、交差点や横断時は危険ではあるものの、目を凝らせばそこにあることが、はっきり見抜ける落とし穴のように思える。
有識者は、あの冒頭の図ばかりを重視せず、追突事故を特異な性質を持つ事故として認識するべきではないだろうか。


今回分析したのは死亡事故だけであるし、サンプル数も年間死亡事故の4分の1程度のため自転車事故全体を語るには不十分かも知れないが、一般人がこのような分析をするには他に方法がないためお許しいただきたい。

これら150件の事故はどれもが一人の人生が突然失われた悲惨な出来事である。
私のような素人が事故分析をすることについて不謹慎と思われる方もいるかもしれないが、これまでのブログを書くなかで、有識者によって適切な分析が成されているとは思えず、やむなく今回のような作業をする形になった。
私は飛行機や鉄道を安心して利用できるのも、過去の尊い犠牲の存在と、事故調査に真摯に向き合った方々のおかげと信じている。
一年間にボーイング737が5機墜落するくらいの死者を出しながら、恣意的な分析が幅を利かすような事はあってはならないはずである。
有識者による公正な分析が行われる事を期待しつつ、亡くなられた方の御冥福をお祈りしたい。

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リンクについて

■岩手県警察
交通死亡事故発生ニュース
http://www2.pref.iwate.jp/~hp0802/oshirase/kou-kikaku/jiko/sokuhou/hasseinews.pdf
2017年分

■新潟県警察 平成27年中の新潟県交通事故発生マップ
https://www.police.pref.niigata.jp/koutu-anzen/shiboujiko_map28/h27jikomain.html
2015年分

■長野県警察 あなたの街の交通事故
http://www.pref.nagano.lg.jp/police/jikenjiko/jiko/index.html
2016年分

■東京 警視庁 交通事故発生マップ 事故発生地点をクリックすると概要が表示される。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/jikomap/jikomap.htm
2016年分のみ 2017年は2月25日の時点でまだ自転車死亡事故が発生していない。

■千葉県警察 くらしの安全マップ
http://www2.wagmap.jp/cp-gis/PositionSelect?mid=2&nm=%E4%BA%A4%E9%80%9A%E4%BA%8B%E6%95%85%E7%99%BA%E7%94%9F%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97&ctnm=%E4%BA%A4%E9%80%9A%E4%BA%8B%E6%95%85%E7%99%BA%E7%94%9F%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97
2015年分のみ。2016年分については 2月25日現在、位置情報のみで詳細が掲載されていない。
2015年分についても18件中2件詳細が掲載されていないため16件分を使用した。
千葉県のみ信号の有無が分からないため、Google マップ ストリートビューで確認した。

■愛知県警察 交通死亡事故発生マップ
http://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/map/index.html
http://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/map/documents/jiko-naiyou.pdf
2016年、2017年分

■徳島県警察 交通死亡事故速報 2月25日現在公開されている中に自転車の事故なし。
http://www.police.pref.tokushima.jp/05maptoukei/kotujiko.html

■香川県警察 交通事故情報提供システム
http://kagawa-jiko.jp/information/
2012年〜2016年分 
香川県は1〜2枚の写真と文章で事故を説明している。このブログでは事故一件に対し1枚の写真を選んで掲載した。

当然のことながら今後、新しい事故が掲載され、古いものは閲覧できなくなると思われる。
各サイトにおいて、これらは概略図であり正確な状況、交通規制を表しているものではないという事が書かれている。
和歌山県、広島県、高知県、福岡県では事故の多い交差点や地域の事故事例を紹介しているが、
特定の場所、事例をセレクトしており、今回の分析には不適切なため使用しなかった。

多くの県警では交通事故発生場所が分かる地図システムを導入しているが、分析に必要な事故車両の移動方向等が分からないものは使用できなかった。

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私の自転車に関するブログ記事です。

↓第1回 自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓第2回 車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓第3回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(1)
ほとんどが歩道からの事故というのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

↓第4回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(2) 
日本の自転車事故死亡率が高いのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201410/article_1.html

↓第5回 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓第6回 ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓第7回 相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓第8回 車道の自転車は認知されやすく安全性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_1.html

↓第10回 歩道通行の自転車にメリットは無いのか。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓第11回 有名なあの図を検証する。
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

↓第12回 歩道の自転車は左折事故の危険性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201512/article_1.html

↓第13回 信号交差点では「歩道からの自転車事故がほとんど」の真相
http://otenbanyago.at.webry.info/201512/article_2.html

↓第14回 自転車左折事故の定説が信じられない7つの理由
http://otenbanyago.at.webry.info/201609/article_2.html


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