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zoom RSS 信号交差点では「歩道からの自転車事故がほとんど」の真相

<<   作成日時 : 2015/12/31 02:12   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 0

信号交差点の図も検証してみましょう。
古倉宗治氏の書籍・講演では、ここまで検証した図と合わせ、3点が続けて提示される事が多い。
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・信号あり交差点の全体図
・信号なしの出会い頭
・信号なしの左折時

この3点が提示されると、大部分の自転車事故の実態を見たような気にさせられる。
このうち2点はすでに検証したので、今回は信号交差点の図を取り上げる。

古倉宗治著 成功する自転車まちづくり P117-P118より
日本でも、最近になって、交差点事故の比較的詳細な調査がなされている。
すなわち、交差点での事故発生の場所やその時に自転車の走行方向を調査したものである。信号機のある交差点(幹線道路相互の交差点)の事故発生箇所を示した図3.9によると、ほとんどが、歩道から横断歩道に進入したと思われる場所で起こっており、車道から直線的に交差点に進入したと思われる箇所ではほとんど見られない。(中略 ※前回検証した記述)
このようなことから、日本でも、車道から交差点に法令を遵守して左側通行で進入した場合は、車との事故はほとんど起こらないことがわかる。

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なるほど、よくある交差点において歩道から出た自転車と思われる事故が非常に多く、「やっぱり車道を走った方が安全性が高いのか?」と思ってしまう。

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私はまず、この交差点はどこにあるのかを特定し見学してみたいと考えた。
いろいろな資料に出てくる上の図であるが、どこの交差点なのか記載がない。
専門誌 土木技術資料51−4によれば東京都内のある交差点で、2002年8月〜2007年6月の事故データを使用して国土交通省の研究所が作成した事が分かる。

国土交通省管理下である都内の国道である可能性が高いと考え、都内の国道全てをgoogle map(航空写真)とstreet viewでチェックしたが発見できなかった。

その後も、分離帯や道路標示の特徴が一致しそうな場所を探し回ったが発見できず、改修されている可能性もあるため、とうとう挫折。
しかしその過程で気づかされる事も多かった。

このような、何の変哲も無い交差点、探してみると実はそれほど多い訳ではない。
図のような片側3車線以上の大交差点は都心部であれば珍しくないが、私の住むような東京都下の市では、見栄を張っても市内に数箇所位しか無い。
信号交差点といっても細街路との接続部分のものや、片側1〜2車線の中・小規模のもの、丁字路、五差路、Y字、X字、スクランブルなどなど多種多様である。
画像

今回検証している図では左折事故が25件、右折事故が13件と倍近く左折事故が多い。
しかし、イタルダ・インフォメーションNo.47 P3によれば、信号交差点での自転車事故は、右折時が極めて多い事が書かれている。http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info47.pdf

古倉氏の掲げる図では左折事故が多く、イタルダの調査と結果が反対だが、図中には右折事故が多い部分もある。
右折車が多い、左折車が多いといったその場所の特性によるものかも知れないし、交通量の多い交差点の特徴かも知れない。
この様な大交差点では矢印式信号が導入されている事が多く、特定の事故ケースを低減出来るため、歩道または車道のどちらかの自転車にとって安全上有利と言う事も考えられる。

古倉氏は自転車事故の多い場所をランキングで示し、『歩道+信号機がある交差点』を第3位としてこの図を提示しているが、いくらなんでも日本全国のその実態はこの図だけでは分からない。

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しかし実はこの交差点、もっとレアな珍しい交差点なのである。

まず左折専用レーンが2箇所にあるのが見ていただけるだろう。
都心部では車線数が多いため、またT字・X字・Y字路等では進行方向が限られるため、左折専用レーンも珍しくないが、片側1〜2車線の街道の十字路では少ない存在である。
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都心部でも交通量の多い場所の左折専用レーンは、本格的なサイクリストのブログでも記事になっていて、
検索すると枚挙に暇がない。
内容はいろいろだが、共通して言えるのは、交通ルールに対する疑念と危険性の指摘である。

ワールドサイクル
自転車の交通ルールが実態と即していない部分は、ここだ。
http://blog.worldcycle.co.jp/20131130/7818/
(左折専用レーンのある場所ではルールを守るほうが危険。)

perfect comes from perfect 
交差点の設計ミス(2)
https://perfect-comes-from-perfect.blogspot.com/2012/11/2.html
(左折専用レーンのある交差点をピックアップして、危険性を指摘。)

自転車乗りのお役立ち雑学情報局
自転車で左折レーンのある交差点を直進したいときの注意点
http://oyakudachi-infom.com/archives/349.html
(現行法下での左折レーンの危険性を解説。交通環境の整備を訴求。)

tokyo bikers
「キープレフトの原則」の応用についての補足
http://ganymean.sakura.ne.jp/bicycle/tokyo_bikers_menkyo/tokyo_bikers_menkyo_plus2.html
(祝田橋交差点等の左折レーンの危険性を指摘。)

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しかしそれだけでは無い、もっと珍しい特徴がこの交差点にはある。

それは第二通行帯からも左折が可能な点である。
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画像


下の地図が東京都内の国道であるが、(出典:国土交通省HP http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/road/census/h18/tokyo.htm
画像

そのうち第二通行帯から左折できるレーンがある交差点を調べてみた。
(2015年12月のgoogle map閲覧による)
※ただし2本の道路が交差する十字路のみ(T字路・Y字路・多叉路・一方通行道路との交差を除く、重複する場合国道番号の若い方に記載)

1号 祝田橋・馬場先門★・飯倉★
4号 和泉橋区民館(1方向は細街路)
14号 一之江一丁目
15号 新橋(昭和通り)・大森東(環七)★・東蒲田二丁目
16号 左入橋★・堂方上・小荷田
17号 湯島聖堂前(T字路に近い)・三園二丁目★
20号 四谷三丁目★・四谷★
122号 赤羽
246号 表参道★ 
357号 京浜島一番地・京浜大橋北

6号・130号・131号・254号・298号・411号・466号 なし
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あくまで国道のみの調査であるが、各国道において0〜3箇所程度であり、
図のように左折レーンが2本以上あり、尚且つ第二通行帯からも左折できる十字路は★印を付けた8箇所しか存在しない。
それも都心部に集中している事から他府県では、より少ないと思われる。
提示された図の交差点は非常に珍しく、また自転車にとって車道を通行しにくい場所であるに違いない。
日本中の信号交差点の代表と言えるのか?、そしてたまたま選ばれたのであろうか?
画像

この図をよく見ると楕円で囲まれた辺りが特に歩道の事故だけが多く、車道の安全性を決定的なものにしている。
もしこの図を元にした古倉説を真に受けるのであれば、実はこんな場所ほど車道の安全性は高い、
と言う事になってしまい自転車愛好家たちの経験に基づく危惧は気のせいという事になる。

古倉説に不備は無いのだろうか?

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事故件数はそれぞれ何件なのか

前述の古倉氏の書籍の引用文で注目していただきたいのは、
ほとんどが、歩道から横断歩道に進入したと思われる場所で起こっており、

という記述だ。
歩道からの自転車なのか、車道からの自転車なのかは、古倉氏の想像であって、事故記録によるものでは無いのだ。

古倉氏の講演では車道からの自転車は4件(うち1件は逆走)と思われる事が述べられている。
2011年度第2回自転車活用研究会in関西 (58分40秒あたり)


横断歩道近くの事故は歩道からの自転車に決まっている。と皆さん思われるかも知れないが、実際には車道走行の自転車も、横断歩道のあたりを走行することはあるのだ。
ここに先ほど述べた、交通量の多い大交差点の特性があると私は思っている。
前回紹介した、私が撮影した動画では車道を利用しながらも、下図のように横断歩道を利用する自転車が見られた。
画像
※図中の数字は動画において、イラストの位置に自転車がいる表示タイム。
なぜかと言うと、これは左折待ちのクルマが列を作るが、横断歩道上は歩行者が多くなかなか左折出来ない。
歩行者が途切れるのは信号が赤になる頃であったりするので車列の後方で自転車が待った場合、青信号のうちに直進出来ない可能性が生じるため横断歩道を選択している。

前述した様に残念ながら図の交差点は発見できなかったが、比較的近い四谷三丁目交差点でも観測を行った。
画像

図と同じ通行区分であり、第二通行帯から左折できる場所では二重の左折待ちが見られた。(三重も珍しくない)
画像
画像

信号待ちの車列に隙間がなければ前には出られないため、歩道を選択する自転車もあり、すり抜けて前に出ても左折車があるため直進はできず、仕方なく横断歩道部分を横断する。
この方法で横断した場合、車道通行ではなく歩道からの事故としてカウントされてしまう不備が古倉説にはある様だ。

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そして法律面においても、
自転車は自転車横断帯があるときはそこを通行しなくてはならない。(道交法第63条の7より)
というルールがあり、現在は自転車横断帯が無くなりつつあるが、この図では存在するため遵守する自転車はいたと考えるのが自然である。

右から左折車を追い越すケースや、停止線を大きく超えて信号待ちし左折車との接触を避ける自転車も見られるが、その場合は仮に安全だとしても広く推奨された通行方法ではなく、それらは機敏な若い男性のスポーツ車に多く見受けられ、それに基づいて万人の車道走行の安全性の根拠にするのは疑問である。

公平を期するために付け加えると歩道から出た自転車も車道部分を通行する様子がみられた。
誰でも経験があると思うが、横断歩道をふさぐ様に車両が停止し、歩行者や自転車がそれを避けて左右に広がるケースだ。
結局のところ、どのプロットが歩道からか、車道からかは曖昧な憶測に過ぎないのだ。
画像

また、古倉氏はなぜか言及しないが右側の車道上に2件のその他の事故がある。追突事故なのではないかと勘ぐってしまうが、それもよく分からない。
図中の出会い頭事故は信号無視によるものと思われるし、他にも位置的に逆走や違反と思われるプロットもある。
右左折事故でも信号無視が含まれているだろうから、歩道・車道の危険性の分析に有効な件数も不明である。

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さらに細かい話になるが古倉氏の書籍に掲載された図は、元の国交省作成の図よりもプロットの大きさ、位置が変わっており、より歩道に近い位置に見えるように書き替えられている。
下はカラーの方が、『土木技術資料51−4』 P12掲載の図(国交省作成)
モノクロの方が、古倉宗治著 『成功する自転車まちづくり』
交差点図の右上を拡大したもの。
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わずかな違いだがプロットと歩道端の隙間を狭く表現する事で、私が前述した様な走行パターンがイメージしにくくなる。
下は念のため、大元の国交省作成図の全体図
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次に、この曖昧な事故件数を曖昧な通行比率で比較する必要があるが、上で述べたような理由で車道左側を真っ直ぐ直進して横断する自転車は実はかなり少ない可能性もある。
画像
(↑赤字は管理人が記入)
そうでなくても前回のブログで述べたような、歩道と車道の通行比率が30倍を超える様な場所もある事から、この図をもって、車道左側走行の安全性は主張できないというのが私の見方である。

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(補足)都内の自転車の車道通行割合については、次のような調査があり、5%以下の場所も存在する。
平成25年調査 交通量統計表 P33 資料-32を参照
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/ryou/image/b11_h25_shiryo.pdf
ただしこれは資料内に書かれている様に歩道左側の自転車のみの計測のため、双方向を勘案すると2.5%以下になり、歩道通行と車道通行では30〜40倍の差が生じると思われる。

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今年一年間、多くの方にブログへ訪問していただき感謝しております。
みなさんにとって来年が良い年でありますように!

私の自転車に関するブログ記事です。

↓第1回 自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓第2回 車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓第3回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(1)
ほとんどが歩道からの事故というのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

↓第4回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(2) 
日本の自転車事故死亡率が高いのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201410/article_1.html

↓第5回 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓第6回 ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓第7回 相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓第8回 車道の自転車は認知されやすく安全性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_1.html

↓第9回 オランダに自転車道は少ないのか?日本でも不要なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_2.html

↓第10回 歩道通行の自転車にメリットは無いのか。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓第11回 有名なあの図を検証する。(出会い頭事故)
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

↓第12回 歩道の自転車は左折事故の危険性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201512/article_1.html

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