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zoom RSS 歩道の自転車は左折事故の危険性が高いのか?

<<   作成日時 : 2015/12/24 02:24   >>

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前回、車道走行の安全性が説明される時に必ずと言って良い程出てくる、あの図(出会い頭事故)を検証してみた。
実は左折事故においても同様の図が存在する。
元々は国交省の調査による図だが、古倉宗治氏の書籍、講演などにおいて車道の安全性が高い事を裏付けるものとして引用されている。

古倉宗治著 成功する自転車まちづくり―政策と計画のポイント P118より
また、左折事故(まき込み事故)について、車道の左側通行から交差点に進入した自転車の事故が1件(1/26件)あるものの、歩道から交差点に進入した自転車の事故がほとんど(25/26件)である。
このようなことから、日本でも、車道から交差点に法令を遵守して左側通行で進入した場合は、車との事故はほとんど起こらないことがわかる。

画像

これまた圧倒的な事故件数の差があり、車道走行の安全性が際立っている。様に見える。
しかし、この図もまた不可解な点が存在するのだ。

その不可解な点とは、車道走行の事故発生率だけが計算されていない点である。(※印の部分)
車道順方向での事故が0件であれば算出しないのは分かるが、この図では、車道での事故が1件あり十分計算は可能である。

理由として図の右下に「※件数が少ないため算出しない。」と書かれている事から、おそらく、事故1件では統計学的にサンプル数が不足しているため、あえて計算をしていないと思われるが、その場合は算出をしようが、しまいが信頼できる数値が得られない事を認めている訳で、それにもかかわらず、この図を持って安全性の比較をする事自体が不適切ではないだろうか。

「計算するまでも無い。」
そんな声が聞こえてくる様であるが、果たしてそうだろうか?

ここで少々強引に、この算出されなかった安全性の比較をしてみよう。
この論文からは車道の通行量は不明だが、前回紹介した同区間、同時期の別の分析図(出合い頭時)がある。(詳しくは前回のブログ参照)
画像
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00039/200811_no38/pdf/94.pdfより

ここまでの図を少し解説すると、事故件数の他に、通行量を勘案した事故発生率が括弧の中に記載されている。
これは事故件数だけでは危険性の比較が出来ないためで、分かりやすくプロ野球に例えれば、バッターの成績を比較するのに打率を求めるのと同じ要領だ。
安打数÷打数=打率
事故件数÷通行量=事故発生率
(※ただし図-7においては通行量は台数ではなく、車道を1とした比率)

この図には通行量は書かれていないが、もちろん逆算して求める事が出来る。
下の図は筆者が各通行場所の通行量を求めたもの。
画像

さらに円グラフにして歩道と車道の通行量を比較してみる。
画像

車道順方向1台に対し歩道の利用者は約34倍多い事が分かる。
それに対して今回検証している図における左折事故は車道1件に対し歩道24件であるので、この通行比率を採用するのであれば、逆に歩道利用者の方が事故に合いにくい事が分かる。(正確に言えば車と同方向に走る時は若干歩道の方が危険だが、逆方向の時に大きく安全性が高いため、総合的にもそうなる。)

実際に車道通行の自転車を観測すると、左折車が存在している時だけに下図のような左折車を回避する様子が多く見られるため、車道左端を走る自転車はさらに少ないということも考えられる。
画像

下の写真(GIF動画)は左折車を右から追い越す自転車である。
画像

この場合左折車に巻き込まれる事故は回避できるが、その他の事故の可能性が出てくるし、仮に安全性が高いとしても広く推奨されている走行方法ではなく、図示された通行位置とも異なる。

今現在、国道254号においてどの程度の車道走行自転車があるのかも30分だけであるがビデオ撮影をしてカウントしてみた。(詳細は後述するが、他の調査目的もあるため撮影した。)

画像

文京区富坂下交差点の西側に一本のラインを想定し、通過する自転車の数をカウントしたところ、歩道87台に対し車道通行6台であった。
ただし車道の6台のうち3台は交差点に進入する際、上図のAの方法(左折車を右から追い越し)であった。
南北方向の移動もチェックしたが車道左端を直進した自転車はわずか1台だった。

短時間でたった一箇所の調査であり、事故件数のデータからは10年以上過ぎているため、あくまで参考ではあるが29倍歩道走行自転車の方が多いのである。
この数値を適用するのであれば車道走行の方が左折事故に遭いやすいという事になる。
ただし、安全性の比較には当時の広範囲で長時間の通行比率が必要である。最低限いえる事は、前回同様、分析に必要な車道の事故件数が不足している(車道の事故件数が1件増減しただけで結果が全く変わってしまう。)事と通行量を勘案しない分析は無意味だと言う事である。

画像

もう一度野球に例えるならば、
年間打率ランキングを決める際に、数試合しか出場しなかった選手が、
「凡打や三振の様な打ち損じは俺が一番少ない、俺が今年の首位打者だ。 打率は計算する必要が無い。」
と言っているようなもの。
メチャクチャである。

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動画について

画像

画像

一般的なyoutubeの時間制限があるため3倍速(約10分)にしてアップロードしました。
1080Pで撮影していますのでその解像度で、大きめの画面でみないと良く分からないと思います。

以下の数字は、交差点西側に想定した赤い線を自転車が通過したタイム。
今回は同じ自転車が重複してカウントされない様に国道254号上を横断する1本のラインを想定して計測しました。
再生時、環境によってはタイムバーを操作すると時間表示と映像がずれる場合があるようです。

センターラインより北側(動画右が北、下が東)
車道を東へ(4台)
0'23 1'03 5'07 5'30

歩道を西へ(21台)
1'05 1'33 2'30 2'37 2'53 2'54 3'27 3'28 3'57 4'22
4'23 4'44 5'42 5'44 6'15 6'53 7'45 8'04 8'36 8'37
8'38

歩道を東へ(29台)
0'01 0'27 0'28 0'54 0'55 1'05 1'34 2'46 2'47 2'48
3'00 3'12 3'24 3'47 4'03 4'36 4'45 4'56 4'57 5'18
5'24 5'33 5'47 7'54 7'55 8'06 8'46 8'50 9'05
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センターラインより南側
車道を西へ(2台)
2'00 9'39

歩道を西へ(15台)
0'04 0'06 0'07 1'00 1'08 1'58 1'59 2'09 2'59 4'02
4'54 5'55 7'25 7'35 7'40

歩道を東へ(22台)
0'11 0'27 1'48 2'02 2'30 2'44 3'15 3'20 3'30 3'53
4'34 5'48 6'08 6'57 7'17 7'18 7'19 7'22 7'30 8'05
9'23 9'48

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南北方向で唯一車道左端を走行
南から北へ9'10(必ずしも左折車・右折車に対し安全とは思えない。)
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私の自転車に関するブログ記事です。

↓第1回 自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓第2回 車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓第3回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(1)
ほとんどが歩道からの事故というのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

↓第4回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(2) 
日本の自転車事故死亡率が高いのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201410/article_1.html

↓第5回 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓第6回 ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓第7回 相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓第8回 車道の自転車は認知されやすく安全性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_1.html

↓第9回 オランダに自転車道は少ないのか?日本でも不要なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_2.html

↓第10回 歩道通行の自転車にメリットは無いのか。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓第11回 有名なあの図を検証する。(出会い頭事故)
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

↓第15回 150件の自転車死亡事故を分析する(1)
http://otenbanyago.at.webry.info/201703/article_1.html

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