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zoom RSS 歩道徐行の自転車にメリットは無いのか。使われない自転車レーン

<<   作成日時 : 2015/06/19 16:39   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 13 / トラックバック 0 / コメント 0

こんな論説がある。

(歩道での徐行が)時速8kmでも自転車本来の性能を発揮しているとは言えないばかりか,自転車には守るのが困難な低速度でもある。徐行を強いられる自転車は交通機能上のメリットが全くない。

岩手県立大学教授 元田良孝 『自転車は車道,歩道は邪道』より
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~motoda/douro201412.pdf

確かに歩道を自転車が通行する場合、徐行しなければならない。

徐行とは、「直ちに停止することができるような速度」で、明確な速度は決められていないが、時速4〜8km位という説が多い。
「ふらつかない程度の最もおそい速度で、大人の早足程度の速度が目安です。」
という表現をしている場合もある。和歌山県警HPより

歩道上で徐行が守られていないのは疑いようがないが、「メリットが全くない。」と言うのは、自転車の施策を考える上で念頭に置かなくてはならない視点が置き去りにされている様に思えてならない。
その視点を忘れてしまうと、スピードが出せるはずなのに利用されない自転車レーン、ナビライン等が出来てしまうと思う。


歩道を徐行する自転車に利点は無いのか。

安全性については、今までいろいろ書かせていただいた。
今回は車道走行と歩道通行の利便性だけに話を絞って、比較してみたい。
と言っても、資料を元に分析するような事ではなく、私が普段自転車を利用していて感じている事をモデルコースを使って、さらにファンシーな(?)イラストで説明しよう。

おそらく日常的に自転車を使う人なら共感できる部分もあるのではないだろうか?

まず最初に一番重要で、なおかつ盲点になりやすい事だが、世の中歩道のある道路は1割強なのでほとんどの場所は徐行をする必要は無い。
そのため、いずれにしても自転車を利用するメリットは大いにある。

では歩道上に限っての利便性を考えてみよう。
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※歩道を通行できる要件を満たしているものとする。

駐輪場
まず駐輪場を出発する所から話を始めよう。
当たり前だが駐輪場や目的地は歩道上やその内側にあり、車道上には無い。
と言う事は近い移動だと車道に出る事自体が遠回りになる。
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車道に出る際には植栽やガードレールなどがあるため、どこでも出られる訳では無い。
出られる場所まで移動し、さらに車が途切れるタイミングを待つ必要も出てくる。
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目的地についても同様の事が言える。
どこでも車道から歩道に上がれる訳ではなく、手前で上がり結局歩道を走ったり、次の信号まで行って戻ったりする。歩道に上がる際には、斜めに段差を通行するため転倒の懸念もある。
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さらに重要な点として、「車道は逆走が禁じられているため、片方向へしか進めない。」という点がある。
逆に進むには、横断して反対車線を利用し、目的地によってはもう一度横断が必要になる。(下イラスト参照)
ルートによってはかなりの大回りになる場合もある。(例えば行きは良くても、帰りは大回りになる)
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片側3車線以上もあるような幅の広い幹線では、信号待ちの時間も含めてかなりのものになる。特に勾配がある場合、余分に坂を上るような迂回は普通の人はしない。


信号交差点
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歩道を利用して交差点に到達して対角線方向に渡りたい場合、どちらかの信号は青であるか、すぐに青になる場合が多い。
渡っているうちに次の信号の待ち時間が経過しているため比較的待ち時間が少なく次も横断できる。
車道走行では渡る方向を選ぶようなことは出来ないので二段階右折をする事になる。
運が悪いと長い信号待ちを2回する事になる。


左折
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車道走行では左折時に信号待ちをするが、歩道通行では必要ない。


バス停
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乗降客の量にもよるが10秒から40秒くらい後ろで待つ事になったり、減速を強いられる。
交通量の多い場所では駐停車車両も同様で、しばらく車両後方で停車車両の発進や右車線のクルマの流れが途切れるのを排気ガスを浴びながら待つ事になる。


上のイラストマップの続きです。
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丁字路
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イラストのように丁字路では信号待ちをする事無く、直進や右折ができる。

横断歩道
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これも丁字路同様、歩道では信号を待つ必要がない。

そして対岸に横断したい場合、歩道通行ではいくつかの機会を選択できる。
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信号のない横断歩道や、丁度、青信号の横断歩道で渡れば信号待ちの必要はない。
これは歩道部分が相互通行である事の利点である。
車道走行では早目に対岸に横断してしまうとその後、逆走になるため出来ない。

渋滞 
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渋滞の理由はさまざまである。
左折車待ち、右折車待ち、工事、事故。
ただの信号待ちであっても混雑時には一回の青信号では渡れずに、もう1サイクル待つ事もある。
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渋滞を尻目に歩道のママチャリが進んでいく。
歩道通行でも進行が滞る事はあるが、ほとんど進まないとか、一回の信号待ちで渡れないという事はまず無い。

一部の横断歩道の無い交差点 
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最後の例は十字路において一部の横断歩道が無い交差点である。
意外にこういった場所は多い。
このパターンでは反対側に渡るのに、恐怖の三段階右折をする必要がある。
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五差路やX字などの変則交差点では信号サイクルが著しく長かったり、付近に横断歩道が無かったりするので、事前に移動しやすい側に横断しておく事の出来る歩道通行が有利になる。
さらに、自転車が利用可能な地下道や歩道橋、押しボタン式信号も歩道から利用しやすい。
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思いつくままに歩道の利便性を並べてみたが、他にも利点はあるかも知れない。

上のモデルコースには組み入れなかったが
一方通行や歩行者専用道路などに、自転車は例外的に入れるケースがある。
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「自転車は移動手段であり速度が速くないと意味がない。」ばかりが強調されるが、
速度が遅い事などから特別に大目に見られていて、そこから得られる利便性は非常に大きい。

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ではここで、車道の自転車が1分間信号待ちした場合、徐行の自転車がどれ位、先に進み、それに追いつくにはどれだけの距離を必要とするのかを計算してみよう。
すでに述べたとおり徐行に具体的な速度は決められていない。
ここでは一般的によく言われている時速7.5kmを使って試算してみる。
下の表は時速と1分間に進む距離である。
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徐行速度の目安7.5km 自転車活用推進研究会資料より
http://www.estfukyu.jp/pdf/2012shikoku/02_kobayashishi.pdf

信号待ちを1分間している間に歩道を徐行する自転車は125m進んでしまう。
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125mはどれくらいの距離かと言うと東京ドームのホームベースからセンター方向のフェンスまでが122mなので、ほぼそれ位の距離という事になる。
結構進んでしまうのだ。
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東京ドーム:wikipediaより
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これだけ先行した徐行の自転車にあなたがママチャリ(平均速度15km/hと仮定)で追い付こうとした場合、250m走る必要がある。

追いつくには250m走らなければならないが、その間に上で説明したような、いずれかの状況があればまた差がつくし、歩道のない生活道路に入れば徐行の必要は無くなるため、もう差は縮まらない。
もっとも特に速いスピードの出せるスポーツ自転車なら、もっと早く追いつく事が出来る。

こうして考えると車道の利便性を大きく享受出来るのは、

■スピードが出せる自転車。
■長い距離を走る。
■直進を続けるルートを利用している人。
■ハンドル幅の狭い自転車で器用にすり抜けできる人。 

という事になる。
例えば、車道走行の徹底を訴えるツーキニストや、趣味で長距離走るスポーツ車の方が当てははまる。


逆に言えば、例えば大きなカゴや子供用シートの付いたママチャリで近所を低速で走り、買い物や所用を済ます。という様な使い方には、かえって車道は利便性が低い場合も出てくる。
そもそも日本は、歩道の無い場所が約9割である。
片道1〜2kmの移動で歩道のある場所は数百メートル。
速度を出すよりも、停滞しない経路を選択したほうが賢明だったりする。
信号密度の高い日本ではこうした自転車利用が多い傾向がある。

「歩道の方が迂回を迫られる交差点がある。」とか、
「歩道が狭いと歩行者がいて進めない場合だってある。」とか、
いろいろ反論はあるかも知れない。

しかし、まさにそう言った、その地域の特性や利用者の傾向を考えての比較考慮こそ私の希望するところである。
せっかく自転車レーン・ナビラインが出来ても地元住民の移動傾向に合わずほとんどの人が歩道を利用しているのではコストのかけ方としても疑問を持たざるを得ない。
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綱島街道(武蔵小杉駅付近)

歩道通行がベストな施策であるとは思わないが、ベターである場合はあると思うし、歩道上を改修した走行空間も状況次第では必要と思う。
然るべき方策をとれば、法律上も必ずしも徐行は必要ではないし、走行の快適性や歩行者との分離も可能だと考えている。
また利便性の高いものは利用率が高くなり、イレギュラーな走行をする自転車を少なくできる。

歩道の持つ利点を理解すると、「車道に自転車レーンを整備すれば、自転車問題が解決する。」という様な報道が少し短絡的に見えてくるのではないだろうか。

さらに大切な事は、上で説明したような歩道通行のメリットを兼ね備える自転車道が、すでに国内外に存在する点だ。

バスとの干渉を避けられる、島式バス停。双方向でもある。もちろん駐停車車両による影響も受けない。(三鷹市かえで通り)
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駐停車車両や渋滞を避けられる自転車道。丁字路や右折時(日本では左折時)に信号待ちの必要が無い。(アムステルダム)
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信号無視に対して、オランダでは、まず守れるような信号システムを考えるというアプローチである。
http://www8.cao.go.jp/koutu/chou-ken/h22/pdf/ref/1-1.pdf (警察庁資料P2より)


冒頭で紹介した元田教授はこんな風にも述べている。

自転車は歩行者より速く移動できるからメリットがあるのであり,歩行者と同程度の速度ならわざわざ自転車を利用するメリットはあるだろうか。自歩道があるから自転車に対する設計は十分だとする道路管理者は少なくないが,それでは,自転車は交通機関として不要と考えているに等しい。
 実行困難な規則を押しつけられた自転車は,徐行を守ろうとしない。
従って,自歩道を整備することは自転車の違反を助長することにもなりかねない。
岩手県立大学教授 元田良孝 『自転車は車道,歩道は邪道』より

速度がでなければメリットがないと考えているようだが,、速度ではなく、目的地に早く到達できる事こそ重要な点である。
また自転車がここまで日本で広く普及しているのは速度だけでなく、物を運ぶ面において歩行より手助けになるという面も見逃せない。(日本ならではの自転車利用の傾向は以前、ママチャリについてのブログで書いた)
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そう言った点においても、自転車を利用するメリットはあるし、さらに高齢者や荷物を多く乗せた低速自転車が目的地に歩くより早く、短い距離で、少ない労力で到達できるのならそれは大きなメリットでは無いだろうか。

また、実行困難な規則を押しつけられた自転車がそれを守らない事も書かれている。
今回、ブログ用の写真を撮るために街で観察してみたが、実際にはバスや渋滞を後ろで待つ自転車などほとんどなく、右や左から強引なすり抜けで前に出たり、一時的に歩道を走行したり、左折や横断歩道の信号待ちについては信号無視で先に進む自転車を多く目にした。
画像
↑渋滞を後ろで待つ自転車など皆無に等しく、撮影できなかった。

車道逆走や危険な横断に関しても今回のブログを読まれた方はその理由が理解できるのではないだろうか。(もちろんやってはイケナイ)
押し歩きをすれば解決するらしいが、それは数百メートル以上になることもある。(重い荷物を乗せたり、子供を乗せての押し歩きは安全でもない)
これらについて、前出した元田氏の話を一部もじって反論しよう。
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自転車は歩行者より速く移動できるからメリットがあるのであり,歩道の徐行より時間のかかる移動にメリットはあるだろうか。
それでは,自転車は交通機関として不要と考えているに等しい。
 実行困難な規則を押しつけられた自転車は,それを守ろうとしない。
従って,自転車の違反を助長することにもなりかねない。
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つまり車道においても同じ事が言えている訳である。


その場所での利用のされ方を良く見極めたうえで、ある場所では長い距離を走る自転車が高速で移動できるスペースも必要であるし、またある場所では回遊するママチャリが移動しやすいスペースが考案されるべきであろう。
利用率の高い施策は、歩行者にとってもクルマにとっても、もちろん自転車にとっても利益になる。

間違っても、画一的で一部の自転車利用者だけにとって好ましく、多くの地元住民に利用されない自転車施策にならない事を望むばかりである。



私の自転車に関するブログ記事です。

↓第1回 自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓第2回 車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓第3回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(1)
ほとんどが歩道からの事故というのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

↓第4回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(2) 
日本の自転車事故死亡率が高いのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201410/article_1.html

↓第5回 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓第6回 ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓第7回 相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓第8回 車道の自転車は認知されやすく安全性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_1.html

↓第9回 オランダに自転車道は少ないのか?日本でも不要なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_2.html

↓第11回 有名なあの図を検証する。
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

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