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zoom RSS オランダに自転車道は少ないのか?日本でも不要なのか?

<<   作成日時 : 2015/05/29 13:36   >>

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前回検証した古倉氏の書籍に、ついでで指摘しておきたい部分がある。

それは、<欧米において自転車の専用空間が多いと見られているのは誤解>である事が述べられている部分だ。

『自転車利用促進のためのソフト施策』古倉宗治著
P131 欧米の自転車専用空間の実情について
我が国で多くの誤解があるのは、自転車の専用空間が多く、共用する空間は少ないと見られていることである。
しかし、自転車の走る空間の大半は自転車のための専用空間ではない。
車道での共用を前提とした安全対策を組んでいるのである。

オランダでは(自転車)専用の空間は全道路延長の16.8%にすぎず、絶対的な割合としては低い。
また、市街地での自転車道・専用道は、7,450kmであり、市街地の道路は55,200kmであるので、市街地の専用空間は13.5%になる。
すなわち、市街地で自転車に専用空間を確保しているのは1割強である。
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有識者会議や国会などでも同様の発言がみられる。
例えば、以下のもの。
自転車道は欧米でも少ない。自転車道は交差点で危ない面があり、極論を言えば、街中で自転車道は不要ではないか。
ルールと整備が連携していけばスピードの違う車両同士が共存していけるはずである。

第2回新たな自転車利用環境のあり方を考える懇談会 議事要旨P2より(発言者は不明であるが古倉氏も出席)
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/bicycle_environ/2pdf/giji_y.pdf

第166回参議院会議録4ページの後半 古倉氏発言も同様の内容。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/166/0058/16604120058008.pdf

また今回は取り上げないが古倉氏の新刊[実践する自転車まちづくり]には、いかに自転車道が危険で不要なものなのかが「これでもか」と書かれている。


前述の文章を読むと、おそらくオランダに行かれた事の無い方は、自転車道は少ないという印象を持つのでは無いだろうか。
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オランダの一般的な交差点(アムステルダム streetviewより) 赤い部分が自転車道


しかし自転車とは関係の無い一般の日本人旅行者も、オランダの自転車道の充実ぶりを驚きを持って紹介している。

オランダのマラソン大会に参加された方のブログ
http://www.ryoji92jp.com/200510netherlands/main.html
オランダの町では、車道の脇にたいてい自転車専用道が設けられていて、走るには好都合。


医学史・技術史研究者のオランダ旅行記
http://wshntndc.exblog.jp/11150965
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大きな道路では上↑の写真のように、車道の右側に自転車専用道路が整備され、信号機も車用、自転車用、歩行者用の3種類が設置されているところが多いです。


web開発者のオランダ・ベルギー旅行記
http://webos-goodies.jp/archives/netherland_and_belgium.html
街のほとんどの通りに自転車専用道があり、そこは本当に自転車優先。


1歳になったばかりのお子さんを持つ方のオランダ・アムステルダム旅行記
http://blog001.ooenoohji.com/2014/06/blog-post_29.html
街中に自転車専用レーンが敷かれています.
歩行者用,自転車用,自動車用,しっかり分けられた道路が敷かれています.


女性一人でヨーロッパ3カ国回られた方の、アムステルダム旅行記。
http://4travel.jp/travelogue/10705140
自転車に乗る割合?が世界で1番のオランダ。自転車専用道路もかなり整備されていて(日本も見習ってほしいなあ)、歩行者と自転車の分離がかなり進んでいます。すばらしい!


オランダの自転車専用道路は度々テレビでも取り上げられている。 
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日本テレビ  世界の日本人妻は見た!5月12日放送より
「国土が平坦で自転車専用道路も整備されているので事故が少ない」と紹介されている。

古倉氏はしっかりと数字をあげて、「16.8%にすぎず」と割合が低いことを訴えているが、果たして多いのか、少ないのか、どちらが本当なのか?


実はこの16.8%(うち自転車道15%)と言う整備率。とんでもなく高い。

皆さんは日本全国における歩道がある道路の割合をご存知だろうか?
(私は知らなかった)

13.2%である。

つまり日本の歩道のある道路(北海道から沖縄、離島まで)全てに自転車専用のスペースを整備してもオランダのレベルには全然足りないのだ。

山間部の峠道でも歩道のある場所はあるから日本では不可能と言って良い高いレベル。
この極めて高い整備率をわざわざ事あるごとに持ち出して、誤解として講説するべき事なのか?
低い割合と思わせる表現は果たして有識者として適切なのか。

この生活道路を含めた数字を使う詭弁を逆に使うなら、こうも言える。
「世界では自転車と歩行者が混在するのが普通」
「日本の自転車はオランダより車道通行をしている」

いろいろな意見があるのは良いことであるが、一般の人がこれからの日本の施策を正しく判断、議論できるように偏りなく海外の事例を伝えるのも有識者の責務ではないだろうか。

この事は、存在する数字を使い現実と異なる印象を与えるという古倉氏の姿勢を端的に説明できる好例であろう。

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日本における歩道の割合の出典
http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h18kou_haku/h18koutuu-genkyo-topics-3.pdf
内閣府歩道の整備等による人優先の安全・安心な歩行空間の確保 46ページより
(2004年時点 高速自動車国道を除く)
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自転車道は不要なのか?

私は「日本こそ構造分離が必要な国なのではないのか。」と思っている。

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それは特に憂慮している点がいくつかあるからだ。

ひとつには日本にはママチャリに代表されるような低速の自転車が多いという点である。
高齢者、子供の自転車も多い他、3人乗り等の子乗せ自転車、小さい子供と2台で伴走している親御さんもよく見かける。他に前後のカゴに荷物をいっぱいに乗せた自転車も多い。
例外もあるがこれらは概ね動きは鈍重でふらつきもある。
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最近Youtubeにアップされた動画
2015年度自転車活用研究会in関西第1回「自活研が目指すモノ」の1時間43分あたりによれば、
https://www.youtube.com/watch?v=Tz4nfF9u5tc
2012年のガイドラインでは自動車の速度が60kmの道路では
構造分離の自転車道が必要とされていたが、
「これを止めます。こんど新しく出すやつは、
60km道路だろうが何だろうが必要だったら、車道混在でもいいし、
視覚分離でもいいからどんどんレーン作れという風に切り替えます」
との発言があるので恐らくそうなっていき、逆に歩道上への施策は一切しない事になると思われる。

時速60kmのクルマが1秒間に進む距離は17m。
2秒間、交通案内板など脇見をした場合34m進み、さらに停止するには44mかかると言われている。
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高速で走れるスポーツ自転車であれば追いつかれるまでには余裕があるが、
低速の自転車では発見してから追いつくまでの時間が短い。

速度差と事故率に関しては、自転車事故に関する物ではないが「ソロモンカーブ」という研究があり、ドライバーの速度と平均速度の差が大きくなるほど、それが速くとも遅くとも、事故に関与する可能性が大きくなるとされている。
Wikipedia Solomon curve https://en.wikipedia.org/wiki/Solomon_curve
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縦軸は衝突率
横軸は平均速度との差

決して難しい研究ではなく、
「遅く走れば走るほどより多くの車に抜かされる事になり、衝突の可能性は増える」
と考えれば当然の事と思われる。
特に自転車で低速で走られている方は、〈大きい速度差で後ろから追い抜かれ、その頻度も多い。〉という事を恐怖感と共に実際に感じているのでは無いだろうか。

高い速度差の中では、駐停車車両などを避けるにもより高い判断・運動能力が要求される事になる。
また追い越すドライバーの側も左側の自転車だけでなく右側を走る対向車、併走車の動きをよりすみやかに予測し判断する必要に迫られる。

規制速度60km(実勢速度はもっと速い場所も珍しくない)の流れの中に生身の人間が乗る低速の自転車が混在することの安全性を、もう少し慎重に検証するべきでは無いだろうか。

道交法により13歳未満と70歳以上の場合は歩道通行出来るので、歩道を通行すれば良いと言う意見もあるかもしれない。
古倉氏の書籍にも高齢者や幼児以外は車道を走った方が安全との記述がある。
しかし、一方で歩道通行の方が危険と言う主張もしていて、
高齢者・子供をその危険にさらしたままと言うのも整合性に欠ける主張ではないだろうか。
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交通弱者である歩行者保護の観点から車道走行厳格化が叫ばれていると思うが、であるならば歩行者から分離した後の自転車の走行空間を考える場合、次に交通弱者になる高齢者や、児童の自転車、乳幼児を乗せた自転車にもう少し重きを置いて考えるべきではないだろうか。



もう一つの憂慮は日本は日没後の自転車利用が多い国ではないだろうか。という点である。
客観的データは不足しているかも知れないが、少なくとも私の知る限りは多い。

日没後も部活帰りの学生、塾から帰宅する小中高生。
スーパーへ行く主婦に、仕事帰りの方たちと、暗くなっても自転車の量は多い。
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一般的にスーパー等の商業施設の閉店時間はヨーロッパより遅く、サマータイムや治安の違いも考えられる。
そもそも日本より自転車の利用が多い先進国は数えるほどで、すでにオランダの例を前述した様に、構造的な分離に力が入れられている。

夜間は昼間よりクルマ側の漫然運転、飲酒運転が多く、自転車への追突事故の割合が跳ね上がる。
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自転車道はスペース、コスト的に無理というケースもあるだろうが、まったくの夢物語という程の物でも無い。
むしろ走行スペースが不十分だから、構造的な分離で補う必要がある場所もあるのではないか。
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高速のスポーツ車では柵や縁石で制限されたスペースは邪魔くさく、むしろ危険性を感じる事もあるだろうが、日本の自転車利用の特性を考慮しなければ結局使われない、定着しない施策にコストをつぎ込む事になるのではないだろうか。
(ママチャリのような日本の自転車利用の特性自体を否定する論調もあるがそれについては以前とりあげた

自転車が老若男女に使われ、子供乗せ自転車も目立つオランダの施策などは大変参考になる。
そのまま日本に導入できるとは思えないが、冒頭で取り上げたように「自転車道は欧米でも少ない」と先進事例を舞台裏に隠してしまったのは大変残念だ。

「古倉氏の文章中の数字に捏造や過誤は無く問題はない。」と思われる方もいらっしゃるだろう。

では私がこう言ったらどうだろう。
「日本は歩道走行の国と言われているが誤解である。9割弱の道路では車道走行をしている」

国会どころか、ブログでも一笑に付されるのがオチであろう。



私の自転車に関するブログ記事です。

↓第1回 自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓第2回 車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓第3回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(1)
ほとんどが歩道からの事故というのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

↓第4回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(2) 
日本の自転車事故死亡率が高いのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201410/article_1.html

↓第5回 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓第6回 ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓第7回 相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓第8回 車道の自転車は認知されやすく安全性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_1.html

↓第10回 歩道通行の自転車に交通機能上の利点は皆無か。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓第11回 有名なあの図を検証する。
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

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