ランキング日記

アクセスカウンタ

zoom RSS ママチャリの走る日本は自転車後進国なのか?(前編)

<<   作成日時 : 2015/02/06 01:24   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 10 / トラックバック 0 / コメント 0

施策から軽視されるママチャリ

私は週3日位、大きなカゴの付いたママチャリで買い物に行く。
スーパーの駐輪場にはズラリとママチャリが並んでいて、子供用シートを付けた物や電動も多い。
日本の自転車の販売台数は圧倒的にママチャリが多い。
画像
自転車の安全利用促進委員会HPより(ママチャリという分類は無いが、ホーム車や電動アシスト車の大部分がそれに当たる。シティ車も含める事もある。)
しかしママチャリは自転車施策からは非常に軽く見られている。

例えば「改訂京都市自転車総合計画の見直し検討部会」の議事では、
低速で歩道を通行する自転車が主流ではあるが,今後自転車計画をつくるなかでは速度の出る車道を通行できる自転車(スポーツ車)を対象に考えたほうがいいだろう。

と述べられている。http://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/cmsfiles/contents/0000171/171852/tekiroku2.pdf

なぜこういう流れになるかと言うと、スポーツ自転車推進グループによる完成度の高いロジックがある。
自活研 疋田智氏の著書「自転車の安全鉄則」より
自転車と言うものはスピーディに走れなければ、環境にも貢献できないのです。
なぜならば、空気清浄機でも何でもない自転車は、クルマから乗り換えることで、その分の地球温暖化ガスの排出量を削減し、そのことで初めてエコロジカルになるからです。
ならば、自転車はクルマの代用とならなくては意味がない
ここに自転車活用の肝心要の部分があります。
それはとりもなおさず、自転車はクルマの代用「たり得なくては」ならない、ということです。
ということは、自転車は「スピード」と「航続距離」を手に入れなくてはならない。
つまり、ある程度以上のスピードで、長い距離を走れなくてはならないのです。(中略)
さて、ここで言わなくてはならないのは、日本の自転車の9割以上を占める軽快車、いわゆる「ママチャリ」のことです。通常、あまり認識されていないことですが、ママチャリという自転車は非常に奇妙な自転車なのです。(中略)歩道を走るのには最適な自転車となったのですが、同時に二つの大きなものを手放してしまいました。
その二つの大事なものとは、もちろん一つにはスピードであり、もう一つは航続距離です。


まず自転車が環境に良い事、健康に良い事が特に強調される。
それ自体は疑う余地が無いためすんなり同意してしまう。
次に「自転車は「スピード」と「航続距離」を手に入れなくては意味が無い。」と来て、二つのものを手放したママチャリは意味が無く、日本だけの奇妙な自転車であることが語られる。
大いに納得してしまうが一晩寝て冷静に考えれば、物事の評価は「エコ」と「健康」だけのワケが無い。

例えば「エレベーターを使わない社会にしよう!」とか「洗濯機も掃除機も使わないようにしよう、運動になって、節電にもなってエコだ」。などと主張しても大きな賛同は得られない。
物には別の社会的評価が存在するためだ。
エコや運動も大切ではあるが、子育てや仕事に忙しい中で家事を効率よくこなせる道具は評価されて当然である。
あまり日が当たる事は無いが、ママチャリは長きに渡り、子供を運び、毎日の食事を運び、家族の足として、あるときは仕事にも活躍してきた。
何も自転車だけが運動ではない。他の趣味やスポーツで体力づくりをしている人や、家事や仕事、介護等にへとへとで、なるべく疲労をせずに移動したいと思うのも非難を浴びる事では無いはずだ。
クルマからの代替かどうかに関係なく、家事や子育てなど社会的責務のある活動に大いに貢献し、その存在自体が評価に値する。
速度が出ない事もマイナス面ばかりではない。
周囲を認識する余裕や衝突回避の時間が生まれたり、衝突ダメージが低減できる等のメリットもあり、お年寄りなど万人に使いやすい。
決してスポーツ自転車に劣る恥ずべき乗り物ではない。
そしてママチャリはその重量や乗車姿勢から、「スピード」「航続距離」を手放しても、あのデザインである必要性があるのだ。


ママチャリは歩道走行が生んだ悪しき奇形?

自活研 疋田氏の著書「自転車の安全鉄則」P31によれば、
(ママチャリは)70年代の法改正を受け、いわば「歩道専用自転車」として作られた日本のオリジナル規格でした。ですから70年代以前にはママチャリはありませんでした
となっている。
これは本当なのか?

ママチャリについては「自転車文化センター」の方が詳しく研究され資料を公開している。
それによれば、1956年に山口自転車より発売されたスマートレディがママチャリの元祖とされている。

画像
スマートレディ(自転車文化センター所蔵)
これの大ヒットに続きその後、1960年(昭和35年)前後に各社から下のような自転車が発売、流行している。
画像

引用:生活の中に生きる自転車「ママチャリ文化」自転車文化センター 谷田貝一男氏
http://www.cycle-info.bpaj.or.jp/history/mamachari/mamachari30.html
細部は現在のものとは異なるが後述するような主なママチャリの特徴は70年代の歩道通行が許可される前に確立しているし、ミニサイクルを含めた婦人用自転車の生産台数増加も始まっている。

ママチャリに明確な定義が無いため、疋田氏が何を指してママチャリとしているかはよく分からない。
70年以降に変化した製品だけをママチャリと呼ぶのであれば、歩道通行との時代的な整合性は生まれるが、他の乗り物や製品も絶えず進化しているのは当たり前で、それだけでは因果関係の証拠にならない。
前述した、谷田貝氏の詳細なママチャリ研究資料にも、「歩道専用自転車として作られた」説は出て来ない。
では、なぜ日本にママチャリが多いのか?
その答えは、ママチャリそのものに隠されている。


ママチャリとは何なのか。

ママチャリには明確な定義は存在しないが、いろいろな人が定義づけをしている。
もっとも、それも結構バラバラであるが、概ね共通するのは「ママ」と言う言葉を含んでいるだけあって、
女性が買い物に行く事を想定し、前方から跨ぎ易いフレーム、
普段着でも乗り易いチェーンカバーや泥よけなどを持ち、前カゴがある自転車。
といったところだろうか。
下に一般的なママチャリの写真を掲載したので見ていただきたい。
画像

乗り降りのために低くまたぎ易いフレームが絶対的な条件で、
これは発展の歴史から言っても主に女性の利用を考えての事である。

まだ主に男性しか自転車を使わない時代に女性をターゲットにしてヒットした経緯がある。
画像
自転車文化センター展示物より

チェーンカバードレスガードはスカート等の洋服の汚損を防ぐのに役立つし、レインコートの巻き込みも防げる。
日常的に使うのであれば雨天時のために、泥除けもあった方が良い。

一方で前カゴ、荷台は荷物を運ぶための物であるし、しっかりしたスタンドも荷物を載せた状態で安定するために必要なものである。
またチャイルドシートを付けた場合も、それは輸送のための物と考えられる。
速度よりも、乗り心地やグリップ力、荷重を考えればタイヤもそれなりに太い方が良い。
車体重量は重くなるが、それは必要な装備によるものである。

セミアップハンドルは速度は出しにくいが楽な姿勢で乗れて、周囲の確認がしやすいので近距離の移動に向いている。
所用で住宅地からスタートして複数のお店などを回る場合、歩道の有る無しに関わらず、右左折や停止、転回、細街路の通行が多くなるので、減速や小回りが必要になる。
歩道を通行しなくても、そもそも日本の道路の8割位は生活道路で、見通しの悪い事を考えれば、速度は抑えた方が良い。

主だった特長から見るとほとんどは女性や年配者など万人が普段着でも乗り易く、子供や買い物などの荷物を近距離において運ぶためのデザインと言える。

特にタイヤ径が小さい婦人用自転車も存在し、「低重心=歩道用」などと言う短絡的な見方もあるが、そもそも日本人は平均身長が低い。
オランダ人女性----170.7cm
日本人女性-------158cm
出典:世界各国の平均身長(女性)http://www.suku-noppo.jp/data/world_average_height_girl.html
荷物や子供の上げ下ろし、安定性を考えると設計上の意味は大きい。

「歩道通行のために作られた」説はかなり伝播しており、自転車の歴史が歪められてしまうのでは無いかと心配である。
歩道通行を解禁したために、それ用のママチャリが登場したのでは無く、逆に女性や年配者の低速度近距離輸送の需要が先にあり、それらが利用しやすい車種の普及、そしてルールに移行していったのではないだろうか。(つまり因果関係の逆転と呼ばれるもの)


何故日本はママチャリが主流なのか

海外ではもっと速いスピードで、遠くへの移動に利用されているのに、ママチャリは歩行の延長として使われている。
自転車の可能性を発揮できず、日本は自転車後進国だ。
こんな論調もある。

確かに日本では買い物など近距離利用が多い。
画像
グラフ引用:http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h24/hakusho/h25/html/n1321000.html

下のグラフは日本で自転車がどの位の距離で多く使われているかを表している。
画像
グラフ引用:自転車の安全利用促進委員会http://jitensha-anzen.com/problem/problem01.html

一番多いのは500mから1kmで近距離での利用が特徴的である。
これは何故なのか?
日本で生活する複数の外国人がママチャリを気に入り、書籍や記事を書いている。
アメリカ人のお笑い芸人パトリック・ハーラン氏もママチャリの前後に子供を乗せて利用していると言う。
母国で必要なかった物が日本では必需品になった経緯には説得力がある。
(参考書籍、サイトは後編の最後に記載)

それは日本の都市構造がママチャリに向いているという理由だ。
高い密度で駅があり、その周りにスーパー、銀行、郵便局、八百屋、薬屋、美容院、本屋、歯科など、日常生活に必要な事はほとんど揃い、それを囲む住宅地からも近い。
下は東京都世田谷区の各駅から1kmの範囲をピンクで表したもの。
赤い点はスーパー。
画像

1〜2km走れば複数のスーパーに到達できる。
徒歩で行くには少し遠いが、かといって車で移動する程では無い。
そんな環境が多い。

例外はいくらでもあると思うが、都市部の日常生活であれば1kmの移動でほぼ用が済む。
それ以上の距離であれば、使いやすくてエアコン完備の清潔な電車やバスが充実している。
画像
↑規模・密度、共に世界に類を見ない首都圏の鉄道網。

欧米ではクルマを利用して食品を買い溜めする事が多いが、日本人は毎日のように買い物に行くため、一回の買い物の量を抑えられ、ママチャリで運ぶ人も多い。これには次のような事も関係すると思われる。
・ヨーロッパでは日曜・祝日は店舗の休業が多い。
・日本のスーパー、コンビニは営業時間が長く、距離的にも高い密度で存在し利用しやすい。
・日本人の食生活では生鮮食品が多い。(余談だが、その日のうちに消費することを前提にした出来立て惣菜が、売り場に充実しているのも日本ならではの事。)
・日本は専業主婦率が各国より高い。

1・2日分の買い物ならばクルマを使わなくても、十分自転車で運べるという訳だ。
私も歩いて7分〜15分位のスーパーに自転車で買い物に行く。
まさに歩行の延長だ。
「そんなに近いなら歩いていけよ!」と思う方もいるかも知れない。

それでも自転車を使う理由はスーパーや商店街の駐輪場を見ると一発で分かる。
画像

画像

前後の大きなカゴや子供用シート。
標準装備のカゴを大きな物に換装している人も多い。
そう、自転車を使う理由は「輸送」である。
他のタイプの自転車に置き換えられる事では無いのだ。
画像

スーパーのカゴ、1〜2個分の買い物をすると5〜17kg位。
1km位の距離でも歩いて運ぶと結構きついのだ。
通学においても、教科書、ノート、部活の道具など荷物は多い。
荷物がない場合もあるにせよ、3回に1回でもあるのならば、やはりカゴや荷台付きの自転車が必要になる。
リュックを使って背負えば良いという意見もあるかも知れないが、刺身パックや弁当等を運ぶときは水平な底のあるカゴは大変便利だ。
子供がいる場合も同様で、赤ちゃんを抱きつつもう一人の子の手をひいて、歩いての移動は大変である。
スポーツ車ではビール1ケースや幼児1人運ぶのも困難で、疋田氏の言うクルマの代用という視点からのスポーツ車優位論には疑問が残る。

他に関係すると思われる事

■治安
主婦などの利用が多いのには治安の良さも関係しているのでは無いだろうか。
海外ではクルマは、犯罪から身の安全を守れる移動手段として選択される。
女性や年配者が前や後ろのカゴに荷物を入れたり、幼児を乗せて、夜でも移動できるのは日本の良い面と言える。
自転車自体の盗難や置き引きが少ない事や、鍵を何重にもかけたり外したりする必要がないのも、不特定の場所に短時間、複数箇所立ち寄る使い方に有利だ。
片手ワンプッシュで一瞬で施錠して店に入る。日常の光景だが、「日本」+「ママチャリ」だから当たり前なのだ。


■道路、駐車、駐輪事情
日本で近距離の所用にクルマを使用すると、道の狭さや、信号の多さ、渋滞や駐車場事情の悪さからかえって時間がかかったりもする。
自宅や店舗から離れた場所に駐車場がある場合も多々あるので、自宅ドア前から店舗ドア近くまで移動できる自転車の利用価値は高い。
短時間であれば無料という駐輪場も多いため、買い物に使いやすい。
通勤の場合、一日駐輪するとなると、適した場所が勤務先近くにあるかどうかや、料金の心配がでてくる。
画像



■住宅事情
日本の住宅事情では自転車やクルマを何台も置くスペースが自宅に得られなかったりする。
画像

玄関は狭く、靴を脱ぐ習慣もあるので屋内での自転車の保管はハードルが高く、屋外となると日本は湿度が高いため錆びやすい、こういった事から廉価なものが選択されるのも無理は無い。
また、保管できる台数が限られるため家族で共有しやすく、多用途に使えるママチャリが選ばれる。


通勤に使われない理由

一方で通勤にあまり自転車が使われていない理由は何故だろうか。
いろいろな理由がある様だが、ひとつには日本の平均通勤時間は39分と各国に比べて長い。(出典:マイナビニュース世界の平均片道通勤時間)
東京都内に限ると平均片道通勤時間は58分にもなる。
ある程度の距離を相応のスピードで自転車通勤するのであれば、服装、アイウエア、ヘルメット、靴などもそれに適した物が必要になる。スーツに革靴や、スカートにヒールのあるパンプスでは厳しく、ヘルメットや風は、髪型を気にする人には避けたいものである。
さらに日本は長時間労働や飲み会も多い。
郊外のベッドタウンから通勤していて、深夜に帰宅する事もあるのでは、自転車通勤したくても出来ないだろう。
電車の中で寝ている人もたくさんいるが、これも海外では見られない光景だという。
自転車通勤が盛んな北欧では1日6時間労働制に移行しつつあるといい、日本とは労働環境も大きく違う。

都市の規模や構成も、交通に関係がある。
画像
北米やオーストラリアのようにクルマ通勤が常識的な地域もあるが、東京では渋滞や駐車場の問題からクルマ通勤する人は一割程度と低かったりする。
画像
鉄道やバスがどんなに発達しても全員の自宅前までは来てくれないので、そのラストワンマイルを繋ぐ手段として、最寄り駅まで自転車で行ってそこからはネットワークの発達した電車を利用する。
これも他国ではあまり見られない自転車の短距離利用ではあるが、ひとつの合理的な利用法である。

■交通費支給制度
日本では交通費が支給されるので、経済的事情で公共交通を敬遠する人は少ないと思われる。
この制度も掘り下げて調べると遠距離通勤者を救済するために始められた制度であり、日本特有の都市構成と関係がある。
悪い制度では無いが会社側が通勤手段やルートの選定に関わってくるため自転車通勤の阻害になる場合もある。

■定期乗車券制度
各国公共交通機関の割引制度は様々であるが、日本のように利用区間、期間、通勤・通学など細かく対応しているのは珍しく、結果、同じ場所に通うのであれば定期券利用は常識となっている。
例えばJRでは月12往復すると6ヶ月定期券と同等の料金になる。(区間により異なる)
年間3割程度の雨の日や(※)、就業後の飲み会を考慮すると自転車通勤による経済的メリットは少なくなる。
ちなみに高校生では月6日程度往復すると6ヶ月通学定期と同等の料金になる。(区間により異なる)
買い物利用では条件の悪い日は外出を控える事もできるが通勤通学ではそうはいかない。
雨の日などに鉄道を利用してしまうとかえって高くつく事もありえるのだ。
(※東京は年間113.2日、1年の31%が雨http://tg.tripadvisor.jp/precipitation/

また、定期券はプライベートでも使えるため、通勤通学区間の沿線へは負担なしで移動できる事も自転車の利用範囲に影響を与えているのかも知れない。

■公共交通機関の犯罪・利便性
海外では地下鉄やバスで犯罪が多い事、不正確な運行、テロの脅威やストライキが多いことなどが自転車通勤を選択する理由としてあげられている。
ヨーロッパのほとんどの国の日本大使館ホームページでは、駅構内、鉄道車内での強盗やスリの情報を掲載していて、バス車内やバス停も安全では無く、タクシーのトラブルも多い。
日本の都市部は公共交通の充実度は高く、駅と駅は近い距離にあり、運行本数は多く、通勤快速のような速達性に優れたシステムもあり、なにより安心して利用できる。

■時間に正確な国民性
日本人が遅刻をしない事は海外ではジョークになる程。
クルマや自転車は、渋滞、事故、パンクなどのトラブルで時間が読めない事も。
日本の鉄道の定時性は有名で、例え運行が遅れても遅延証明が発行され、社内の評価が下がる事はない。

■自転車に関係する自然環境
火山国である日本は坂も多く、梅雨、高温、多湿、猛暑、台風、降雪、強風、日差し(日焼け)などがある。
日本の気候は世界でも厳しい方だと言われている。

世界でもめずらしい!?日本の気候
夏、マニラなみ。冬、北欧なみ。
日本の気候は世界でもまれに見る厳しさです。
旭化成HPより http://www.asahikasei-kenzai.com/akk/neo/house/3-2.html

自転車で長い距離を移動する時ほど注意が必要なのが天気予報であるが、当然各国で気候は大きく異なる。
画像

画像
参考までに世界5都市及び、オランダの首都との降水量の違い。
欧米の平均的な都市のおよそ3倍の降水量を記録している。
降水確率が50%を超えるような日に、近所ならまだしも、遠くへ自転車で行こうとは普通の人は思わない。
降雨の性質も地域によって違い、例えばスコールタイプの雨ならば、一時待機でやり過ごす事ができるが、日本では持続するタイプの雨が多い。自転車を残して帰宅した場合は、当然次の日も自転車で出勤できない。
また、日本人は清潔志向と言われており、自転車利用により汗をかいた状態での就業も出来れば避けたいところである。

------

これらの分析には私の個人的な考察も含まれるが、各国で主にどういった車種の自転車が選ばれるかには多くの要素が関係し、単純なものでは無さそうだ。

日本のママチャリは確かに近距離の移動に多く利用されている。
自転車の可能性はもっと高いのに歩行の延長の移動手段に成り下がっていると言われるが、そのような物が必要とされる生活があり、そしてそれに応える自転車が個人の意思で多種の中から選ばれ役に立っているのであれば、それは世界から遅れている事でも何でもない。
それぞれの国の事情があって、使われ方の傾向があるのは当然であろう。
「ガラパゴス」、「非常識」とママチャリはかなり揶揄される事も多いが、スポーツ自転車や他のタイプの自転車とは利用目的が別の物、どちらが優れていると言ったものでは無い。

エコに関して言うならば、現在ママチャリは台数が多い事もあわせて考えると、環境にも貢献しているし、クルマの保有率も下げていると思う。
もしママチャリが無かったら、幼児とカゴいっぱいの荷物を運ぶにはクルマを利用するしかないので、セカンドカーが必要になる家庭も多いだろう。

現状でも実際にクルマを近い距離で利用する人は一定の割合存在する。
画像
自動車の距離帯別トリップ数/出典http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/setsumei/sr-079-2008b.html
近距離であっても、これからもママチャリはクルマに置き換わり環境問題に貢献する可能性を残していると考えられる。
逆に都市部ではクルマだけで通勤している人は少なく、東京都では11.6%である。
クルマからではなく鉄道やバスから自転車へのシフトは、環境問題の面から見て、その効果は限定的と思われる。

「自転車は乗り物だ。乗り物はより少ないエネルギーでより高速に移動できることが好ましい。」

こんな意見がまかり通っているが、それぞれの体力、安心感、利用法に合った好みの速度で利用できる事や、乗り降りしやすい自転車を老若男女が自由な服装で利用できる事の方が大切である。
真に自転車の活用を考えるのであれば、様々な利用法に合った多様な車種を尊重していくべきでは無いだろうか。

ここまでママチャリの存在が否定される背景には、スポーツ自転車利用者が高速性能を活かせる走行環境を手に入れたい思惑がある。
そのためには日本で圧倒的主流の低速・近距離のママチャリを否定できる理論の構築は必要なものだったと思われる。
後編に続く)
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_2.html

----

↓第1回 自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓第2回 車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓第7回 相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓第10回 歩道通行の自転車に交通機能上の利点は皆無か。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓第11回 有名なあの図を検証する。
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 10
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い
驚いた
ナイス
ママチャリの走る日本は自転車後進国なのか?(前編) ランキング日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる