ランキング日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する(2)

<<   作成日時 : 2014/12/01 00:34   >>

ナイス ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

前回の続きです。前回↓
自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する(1)
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html


次に資料に書かれている聞き取り調査について述べよう。

最初の評価は試行4ヶ月後の2013年8月に発表された。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000082071.pdf

画像


千石一丁目交差点では、約5割の利用者から「横断しやすい」との回答があり、一定の評価が得られました。
としている。
画像


しかしよく見るとここには良い評価を得るためのたくさんの「からくり」があると思えてならないのだ。

一つ目は、質問・回答内容から察するに歩道を利用している人には聞いていないはずだ。
つまり「このナビラインを利用するのは怖い。」
「不満があって歩道を使っている。」
といった人は、はなから含まれていない。

二つ目はこの聞き取り調査、発表は8月だが聞き取り調査は3月の実施開始日と翌日に行われている。
初めて利用する人も多く、まだ不満な点は浮かばない場合もあるのでは無かろうか。

三つ目は、赤信号で停止した自転車利用者にのみ聞いている点だ。
前編を読んでいただければ分かってもらえると思うが
この交差点、左折車との問題が多いのは青信号で交差点に到達した場合である。
でありながら、問題に直面しない「赤信号で停止した人」だけに聞き取り調査が行われる。
前出しされた停止線の恩恵も受けているので良い評価が得やすいかも知れない。

これが実施から暫くしてからの調査であれば、今までの経験から問題点を口にする人もいただろう。
実施当日・翌日というのがポイントなのだ。

四つ目は聞き取り調査である点だ。
アンケートハガキを後日郵送する方法ではその間に問題点に気付き回答される可能性がある。
ちなみに、半年後の調査はアンケートハガキが使用されているが自由回答はない。

自由回答では「幅員が狭い」ことだけが書かれている。
赤信号で止まった時間で多くの事は答えられないはずだ。

いろいろ工夫された調査だが、
千石交差点で「横断しやすい」と答えた人は46%。
画像

良い部分のみを赤字で強調し、
5割として一定の評価を得たとするのは、少々強引と思えなくも無い。
かなり微妙である。




次は実施半年後に行われたアンケートである。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000089844.pdf
半年後のアンケートは郵送で回収する方法で行われた。
アンケートを配布した時間は書かれていないが、車道レーン利用者が多い時間帯に渡していれば、これもやはりこの取り組みの好評価につながるであろう。

最初の設問でナビラインの見やすさを質問しているが、見やすいか、見にくいかは色使いや大きさで何とでもなる。
本質的なナビライン通行時の安全性、走行快適性、問題点に対する設問がない。

また質問文にも
まだ明確でない安全性を宣伝するような文言が入っているのは公正さに欠けるのではないだろうか?
実際、この交差点での事故は増えている。(事故の詳細は不明)試行検証 

画像
(黄色アンダーラインは私が入れたもの)

せっかく半年間利用してきた人がいるのに、前回の調査では行われた自由回答は今回は無く、
本気で問題点を洗い出すような姿勢が感じられない。

アンケートや調査の集計においても特に良い部分のみをとりあげたり、
画像

赤で囲ったりしているが、よく見るとかなり微妙な結果も多い。
画像

実際にはナビラインを全く気にせず、ふさぐ様に停車する左折車が多く、アンケートだけで評価するのは無理がある。


相模原や福岡のアンケートでは設問はより具体的で数も多く、回答も細かく分類され自由回答も多い。
画像

福岡市の自転車レーン社会実験の結果報告書↑
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/33674/1/240814jitennsyarensyakaijikken.pdf
福岡市の例ではアンケート用紙そのものを公表していることも評価できる。
質問に公平性があるか、質問・回答を取捨選択していないか等、市民が確認できるからだ。

今回のプロジェクトではないが、今までにも自転車レーンが優れている事をアンケートで主張する識者は多いが、
アンケートというのは正しく現状を表さない事がよくある。
例えば駐停車に効果高い事をアンケート結果から主張している。
画像

http://www.komei.or.jp/policy/bike/interview/volume2_4.html
単路で自転車を追い越すときは十分空間を確保するなどである。
画像

http://www.mlit.go.jp/common/000189511.pdf(P23)

アンケートも大切だが実際の交通の現状も良く見るべきでは無いだろうか。
アンケートの結果がある一方で、多数の歩道通行の方たちは「この自転車レーンは使用したくない」という事を態度で答えているのだ。
そして、私が撮影し観察した2時間ではナビラインに対し、空間を空けるなどの配慮ある挙動をした自動車はほとんど無い。





いくつか問題点を整理したい。

■交通量調査が朝の2時間というのはかなり不自然だ。
7時〜9時がもっとも交通量の多いピークかと言えばそんな事は無い事が私の調査から推測できる。
(私の調査日は国交省の調査と同じ平日で、天気も同じく晴れ、11月なので寒い日だが午後の2時間で194台と国交省の調査の倍以上通行している。)
画像

地方の調査でも12時間している。
一般的な交通量調査も12時間が多い。
調べてみると現在、2万円台のビデオカメラでも12時間連続撮影できる。

前出の相模原も一例であるし、
下の福岡市の自転車レーン社会実験の結果報告書でも、
画像

1時間ごとで合計12時間。逆方向の統計も載せている。

時間帯を選ぶ事で、故意に良い結果を引き出そうとしているとすれば許される事ではない。

■限られた場所・時間ではあるが、私の調査では80%が歩道通行。(車両と逆方向および分類不能含む)
実施以前の歩道通行を高目に見積もっても、
重要な目的である歩行者との分離には大きな効果があるとは言い難い。

実施から1年8ヶ月が過ぎた事を考えると、一般的に言われる
「自転車レーンが無いから皆、歩道を走る。」
「快適な自転車レーンが出来れば車道走行に推移する。」
は本当とは言えないのだ。

一概に比較出来ないが、酷評される歩道上での視覚分離より効果が薄い可能性がある。
(晴海通りにて歩道にナビマークを設置した実験結果 )
歩道を通行する自転車にはしっかりとした理由がある。
何も好きこのんで歩行者と錯綜しながら狭い歩道を走っている訳では無い。
きちんと向き合わなければ減らすことは出来ないだろう。

■実施からちょうど一年後にあたる今年の3月や7月は調査をするのに適していたと思われる。
調査計画は事前に明確にすべき。思わしくない結果を隠蔽するような事が無いように。

■実地調査をしたなら必ず目にしたはずである、
想定外の通行、信号無視など問題点が
「今後の課題及び対策には記載されていない。」

■駐停車車両の問題はどこの自転車レーンを見ても必ず目にする。
ちなみに停車は違反ではない場所がほとんど。
今回撮影した動画でも駐停車車両が途切れることは無い。
インフラが悪いのか。
ドライバーが悪いのか。
はたまた取り締まらない警察が悪いのか?

あまり泥沼の論争には近寄りたくないが、少なくとも試行期間である現在、
ある程度、解決の目処はつけてから展開するべきでは無いだろうか。
画像

画像


画像

千石交差点付近で撮影↑

画像

相模原自転車レーン↑

画像

南大沢自転車レーン↑
駐停車車両の問題は「東京国道事務所による試行結果・考察」に少しだけ書かれているが完全に先送りである。

私は見た事が無いが、札幌にも自転車レーンがあるそうで、東京より先行して整備されたようです。
「こんなレーンは走れません」と指摘しているブログがあります。
車道通行率が現状よりも大きくかさ上げされて発表されている事、路上駐車の問題、
具体的な危険性等を詳しく書かれています。
札幌の自転車用レーンは危険地帯
http://www.geocities.jp/gimni300/2014bikelane/
死亡者が出た札幌ブルーレーン事故を追求する
http://machikado.linebox.org/spot_01.html

■良い結果が出たとしても、他のタイプの自転車走行空間ならもっと良い結果が出る可能性もある。
比較検討が必要。
アンケートでも他の整備方式とどちらを望むかという質問があってよい。
「自転車レーンが縁石・柵などで守られている方が良いと思うか?」など。


■大事なプロジェクトの評価は第三者グループによって行われるべきでは無いだろうか。
自己採点・自画自賛ではだめだ。

■私がもうひとつ危惧していることがある。
この記者発表資料の通行比率を事故分析にも使った場合、
通行量が少ないとされる歩道利用での事故件数は、多く換算され、
逆に通行量が多いとされる車道レーンの事故は少なく換算される。
また、前述した左折車両をさけての横断歩道上での事故はその発生位置から歩道上の事故と分類される可能性もある。
恣意的な数字を使って算出された自転車レーンの高い安全性が広く報道されるのでは無いだろうか。


今回の感想。

国交省の交通量の統計が、朝の2時間だけなのは重ね重ね残念だ。
今となってはどんなに金を使っても過去に取れなかった統計を取ることは出来ない。
結局、どれくらい車道走行を促す効果があるのか。
自転車利用者の変化はどうなったのか。
正確な事は分からずじまい。
実施前と後の事故情報があっても通行位置の変化が掴めなかったら安全性は比べられない。
都民は大変貴重な統計を失ったといえる。

日本の首都、東京の今後の自転車環境を決める大変大切な社会実験だが、他の自治体とくらべても評価があまりに雑ではないだろうか?
「今後の課題」は、停止線の前出し、二段階右折の溜まりの認知度向上くらいしかあげられていない。

明確に問題点を浮き彫りにしていけば、さまざまな対策があるはずだし、今までに無いアイデアだって出てくるかも知れない。
法改正を見据えたり、危険なパターンについて啓発だってできる。


東京国道事務所の試行検証では自動車、自転車、歩行者の分離や道路空間の再配分は先送りとしていて、
結局、自転車施策はおまじないの様な道路ペイントだけと言っても過言ではない。

無いよりかはマシかも知れないが、
千石交差点は歩行者、自転車、自動車とも交通量は非常に多い。
この場所でさえこの方策、この現状でよしとするならば今後の展開に期待は出来まい。

現状の道路空間を活かすしかない、コスト的にこの形態しか無いというのなら、
そもそも統計を取ったり、分析したりする必要はない。
それこそコストの無駄だ。

このプロジェクトの会長 屋井教授は、過去に静岡空港の需要予測を委員長として行っているが、
年間130万人の予測に対し、実績が開港初年度63万人、3年目42万人と大きく外し、報道などで追及されている。

私が注目したのは需要予測において、都合の良い数字を採用して結果を導く手法だ。
私の方ではそれらの検証までは出来ないが、多くのページでかなり厳しく、また細かく、普通では気付かない「計算のからくり」を糾弾されている。

静岡空港需要予測問題点集(改ざん・水増し・捏造の指摘)
http://www2.ocn.ne.jp/~sizuoka1/kusp6.html
静岡空港需要予測(基データ)水増しの意図とトリック分析
http://hp1.cyberstation.ne.jp/shizuoka/mizumasi.html
静岡空港需要予測の責任者「屋井鉄雄」教授の言い訳
http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/604.html

自転車レーン推進を支持する方も多いと思うが、国交省寄りの識者は自転車愛好家とは一線を画す。
国交省にとって負担にならない施策を研究調査で支えているのでは無いだろうか。

私の勝手な妄想になるが、うかうかしていると
「狭いレーンは認知・注意されやすく、実は安全。」
「ペイントは省いても安全は保たれる。」などと
国に都合の良い分析を積み上げていき、
気が付くと、今まで自転車が有していた左側の車線を走る権利は失い、走行を許されるのは自転車レーンとは名ばかりの狭い路肩のみ。
なんて事にも成りかねない。
画像
    写真は札の辻自転車レーン

今後の国交省や東京都などの動向には十分注意が必要だと思う。

今回の調査においても不自然な点が残るが不自然はどこまでいっても不自然。
故意や捏造とは違う。

今年一年は研究不正が糾弾される事が多かった。
しかしそれなりに皆代償を払ったように見える。

もし絶対に露呈せずに結果を操作できるのなら、
それは完璧な贋札のように悪質だ。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
最後に私が統計調査を行った千石交差点下り方向2時間の動画を掲載する。

留意点は以下の通り。

撮影は11月中旬の平日で全て同一日の14時40分から17時頃。
私の使用しているカメラの仕様から一回の撮影時間は29分50秒。
4回に分けて撮影している。
そのため正確には2時間分では無く合計で1時間59分20秒である。
撮影と撮影の間に映像のチェックとバッテリー交換を行ったため完全に連続した2時間では無い。

プライバシー保護の観点から撮影日は掲載しない。
高解像度で撮影しているがプライバシー保護の観点から解像度は落とし、再生速度を3倍速に変更した。

そのためYoutubeの映像は9分56秒の動画が4本であるが、
約2時間分を収めたものである。

音声はカットした。

前述の様に交差方向から来た自転車はカウントしなかった。
三輪自転車も自転車としてカウントした。
映像の始まりや終わりのカットに写っていても、その前や後の行動が分からないものはカウントしなかった。
駐輪場から出入りする自転車はカウントしない。
押し歩きしている自転車はカウントしない。
映像の流用は禁止です。

vol.1


vol.2


vol.3


vol.4


自転車レーンから流入した自転車のみ編集したもの。(直進車のみ)


第三通行帯を走る自転車はvol.3の5:41と9:38
左折する自転車はvol.2の1:27 vol.4の5:04と8:33
逆走はvol.1の6:03
編集映像では1:44

私の自転車に関するブログ記事です。

↓第1回 自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓第2回 車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓第3回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(1)
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

↓第4回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(2) 
日本の自転車事故死亡率が高いのは本当か
http://otenbanyago.at.webry.info/201410/article_1.html

↓第5回 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓第6回 ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓第7回 相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓第8回 千石交差点 不可解な自転車事故の減少
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_4.html

↓第9回 オランダに自転車道は少ないのか?日本でも不要なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_2.html

↓第10回 歩道通行の自転車に交通機能上の利点は皆無か。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓第15回 150件の自転車死亡事故を分析する(1)
http://otenbanyago.at.webry.info/201703/article_1.html




テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する(2)  ランキング日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる