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zoom RSS 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する(1) 恣意的な国交省報告

<<   作成日時 : 2014/11/29 01:35   >>

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千石交差点は都内2箇所で試行中の自転車ナビラインを表示した交差点のうちのひとつだ。
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記者発表によれば5〜8割の自転車が車道上のナビラインを通行するようになり、アンケートも好評価である。
一年前のNHKニュースによれば一定の効果があった事から
今後、都内の国道などで整備を進めていくという。
http://omericer.tumblr.com/post/71183708615/nhk

2014年9月のまだ暑い日、私はこの交差点を初めて訪れた。
たまたま別の用事で近くまで行き、少し足を延ばして見学した。

どうも様子がおかしい。

この場所に立つ前に私が考えた事は、
「おそらく実証実験をするために選ばれる場所は、条件の良い場所である可能性が高い。」
「良い結果はウソではないにしても、どこでも同様とは限らない。」
その程度であった。

しかしどうもおかしい。

10月上旬の休日にもう一度訪れ、時間をかけて観察し、そして確信した。

やはりおかしい。
報告書のイメージとはかけ離れているのだ。

下は国交省発表の資料
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帰宅してから機材の準備などを整えて
後日きちんとした統計を取ってみることにした。
観測日は11月中旬の平日、国交省資料と同じ2時間。

大きく違う結果がでたのである。

観測日時が違うのはご容赦いただきたい。
しかし図らずも、その事が重要な意味を持つ事が後々分かってくる。


その結果内容を書く前に、この交差点について説明しよう。
国交省などの資料を読んでから見ていただくのが一番だが、「めんどくさい」という方もいると思うので見なくても分かるように説明しよう。(優しい。)

千石交差点(文京区)と札の辻交差点(港区)の2箇所は国交省や警視庁、東京都などが今後の自転車利用環境の参考にするために試行中の交差点である。
平成25年3月に設置され、以後評価が行われている。
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複雑な構造の札の辻と違い、千石交差点の方は一般的な交差点の実例として選ばれた。
おそらく今後都内全域に設置されていくと思われる。
大変重要な責務を負ったプロジェクトだ。

記者発表資料は以下の通り
実施前の報道への資料:平成25年3月8日(金)
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000075831.pdf

試行4ヵ月後の調査やアンケート結果:平成25年8月12日(月)
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000082071.pdf

試行半年後の調査やアンケート結果:平成25年12月25日(水)
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000089844.pdf

東京国道事務所による試行結果・考察
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000105702.pdf


簡潔に言うと
■交差点内を直進して横断できる自転車ナビライン(矢羽ペイント)の設置。
■二段階右折の待機場所を設置。(ポールあり)
■自転車用停止線の前出し。
■左折自動車用の路面表示(矢印)。
※札の辻交差点では信号制御の見直しが行われたがここでは実施されていない。
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設置半年後の調査で車道左側端を走る自転車は上りで70%、下りで52%と増加し、いずれも歩道走行より多い。
アンケートの反応も良好だ。

ちなみにこの場所のナビラインの効果は自治体関係者向けの書籍、
「実践する自転車まちづくり」古倉 宗治 (著)でも紹介され、絶大なる効果が説明されている。(同著より引用)
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多くの自転車が車道のナビラインを走行するようになったことがグラフで示されている。
ところが実際に現地に立ってみると全くそんな印象はない。
歩道の自転車ばかりが次から次へとやってくる。



どうしてこんな事が起きるのか。
相模原の自転車道も時々利用するが、ほとんどの自転車はそこを通行し、発表されている利用率83%は納得の数字である。
相模原の通行比率データ↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/sobu/05shirase/shirase/h23/os111012.pdf
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実は統計の取り方に大きな違いがあるのだ。

相模原の統計は実際にその場所を通行した全ての台数、人数の割合である。

それに対し千石交差点の統計は国道17号をセンターラインから半分づつに分け、南側部分では下り方向に直進する交通だけを計測。北側部分では上り方向だけを計測。
国交省資料より↓
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つまり分かりやすくいうと下の図でいう赤矢印の動きをする自転車がカウントされないのだ。
正確に言えば車道を逆走する自転車もカウントされないが、それは少ないので
歩道を走る自転車の多くが結果に現れないことになる。
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事故分析などではこういった通行比率を使用する事もあるが、今回の調査ではより全体的な実態が分かる観測方法の方が適切ではないだろうか?
歩道を走る自転車を車道に移すことが目的の一つであるのだから、全体的に歩道通行自転車が増えていたら意味がない。
ちなみに、直進する自転車のみを計測しているがそれはある程度納得できる。
交差方向である都道437号線には自転車レーンが設置されていないからだ。

私が今回行った交通量調査では、上記と同じ調査方法も採りながら、さらに上図の赤矢印の交通量も観測した。

「本当に観測したのか?」
「交差点にすら本当は出向いてないんじゃないの?」
という疑問もでると思い、2時間全ての撮影データをYoutubeにアップした。
全部見るようなヒマな人はいないと思うが統計の真偽は確認できると思う。
恐らく少し見ただけでも国交省の発表データに対する違和感は共有してもらえるだろう。
なにしろ歩道を走る自転車の方が圧倒的に多いのだ。
Youtubeへのリンクは留意点と共に後編の最後に掲載する。

観測は平日の午後2時40分から下りで行った。
個人では両側同時には観測できないのでその点はご容赦いただきたい。

さて下の3本のグラフのうち、一番右が私、筆者個人が行った交通量調査の結果である。
7台程どう分類してよいか分からないものがあったが、それ以外を国交省発表資料と同様の方法で分類した。
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ナビライン上は28%、歩道通行の半分以下と施工以前より低い。
そして2時間の交通量が194台と、国交省発表の倍以上である事も覚えておいていただきたい。

なぜこんなに違うのか?
国交省のデータが嘘とも思えない。

ここからは私の推測になるが、国交省のデータは午前7時から午前9時である。
朝は通勤でも通学でも時間的な制約があり急いで移動する人が多い。
より速く移動できる車道レーンを選択しているのではないだろうか。

また商店などはほとんどまだ営業しておらず、買い物でのママチャリ利用は少ないはずだ。
搬入などの駐停車が少ないとすれば車道の快適性も高い。

実施後は車道左側通行が増えた事をアピールしているが
この事前調査日は2月で自転車利用者にとっては寒い。
また、学生は2月には休みが多かったりする。
国交省資料より↓ 通行割合の変化
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その後3月・7月・9月の調査でレーン利用者が増えたとしているが利用者の総数も大きく変動しており、
気候が良くなって長めの距離を走る通勤・通学自転車が増加しただけかも知れない。

参考になるか分からないが地下鉄の利用者も一年でこれだけ変化していて年間でのパターンがある。

月別の定期券・乗車券の売上げ
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東京メトロ 平成27年3月期 第2四半期 決算説明資料
http://www.tokyometro.jp/corporate/ir/accounting/pdf/h2703_2q_kessan_setsumei.pdf

一年以上は調査報告を続けるべきだったはずだ、年間の周期パターンが存在したかも知れないのだ。

私の統計には続きがある。
それは自転車レーンを使用していても正しい使われ方がされていない点である。



まず一つ目は左折車を避けて大きく迂回しての横断である。
2時間で15台観測され自転車レーン使用者の28%にあたる。
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ついでに言えば第三通行帯を走る自転車もこの左折車をかわすためであろう。
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ナビラインに乗って自動車の狭い間をすり抜ける自転車もいるが、
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間を通るときは自動車との距離が極めて近いうえに、死角から前に出る形になる。
早めに右折車両が入ってくる場合もあり、(vol.2の00:20や1:38秒あたりで見る事が出来る。)
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果たしてどの方法が安全なのかは今回のテーマと異なるので言及を避ける。
今回のテーマは「評価報告が実態を捉えたモノなのか?」である。

いずれにしてもナビラインが敷かれた理由のひとつは「自転車横断帯による横断が不自然な動線を強いて危険。」と言う事であった。
同じ走行方法をする自転車が「今後の課題」の欄に記載されないのは理解に苦しむ。
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危険とされ消された横断帯だが、皮肉な事に、自転車運転者自らの衝突回避のための判断で行われているのだ。

二つ目は信号無視である。
信号無視はレーン使用者のうち10台にあった。
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停止を促すサインが設置されている。
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赤信号でも停止線で止まらずに横断歩道を渡り交差点前方で停止する。
これも青信号になった時に先発し、車両との接触を避けるためであろう。

これをグラフに書き入れると、正しくナビラインを使用している利用者は15%という割合になる。
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下の動画は2時間の撮影分のうち自転車レーンから交差点に進入し巣鴨方向へ直進する自転車を編集した。
上のグラフのうち歩道利用と第三通行帯利用を除く車道走行を確認できる。


さらに前述した逆方向へ移動する歩道自転車と分類不能の自転車が存在する。
分類不能は以下のパターンで国交省の判定法で分けられないことも無いが、一応別にした。
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これらをグラフに加えてみる。
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ここまで来てようやく、この交差点に立った私の感想を言い表している。
ナビラインの使用者は1〜2割。しかも設計者が意図しない使われ方が多く、全体的には
圧倒的に歩道利用者が多い。

実際には前述したように、このグラフにも含まれていない交差方向の移動がある。
それもまた歩道利用が圧倒的に多いのだ。
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レーンを利用しての左折は3台。
歩道を利用しての左折は23台。
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ナビラインを利用して田端方面へ2段階右折する自転車は2時間でとうとう一台も無かった。
全て横断歩道を利用しての右折である。
※歩道・横断歩道を利用しての2段階右折は映像での確認が困難なため台数不明。


想定外の通行、信号無視、実際の歩道通行自転車
ここまで多いにも関わらず、
前述の報道発表資料の
「今後の課題及び対策」には記載されていない。
実地調査をしたならば必ず目にしたはずである。

厳しい言い方をすれば、良い調査結果を出すために、危険性を把握しながら黙殺していると言える。
この交差点は今後、広域かつ大量に展開される最初の施行である。
真摯に問題点を洗い出す必要があるのではないだろうか。

後編では好評価を出した利用者アンケートを検証する。

後編に続く↓
http://otenbanyago.at.webry.info/201412/article_1.html


私の自転車関係の記事
↓第1回 自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

↓第2回 車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_4.html

↓第3回 自転車−車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証(1)
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

↓第5回 自転車ナビライン千石交差点の資料を検証する
http://otenbanyago.at.webry.info/201411/article_1.html

↓第6回 ママチャリの走る国は自転車後進国なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_1.html

↓第7回 相模原自転車道の新規開通部分と双方向考察
http://otenbanyago.at.webry.info/201502/article_3.html

↓第8回 車道の自転車は認知されやすく安全性が高いのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_1.html

↓第9回 オランダに自転車道は少ないのか?日本でも不要なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201505/article_2.html

↓第10回 歩道通行の自転車に交通機能上の利点は皆無か。
http://otenbanyago.at.webry.info/201506/article_1.html

↓第11回 有名なあの図を検証する。
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

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