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zoom RSS 自転車−車道走行の危険性を検証する。国土交通省資料のウソ

<<   作成日時 : 2014/06/28 15:58   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 25 / トラックバック 0 / コメント 0

今回は次の資料を検証してみる。
先に下のリンク先資料に目を通されてから本ブログを読まれるとよろしいかと思います。

国土交通省のホームページにある資料「車道と歩道の安全性の比較 」
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/bicycle_environ/2pdf/s2.pdf
表紙
画像

圧倒的に車道の安全性が高いことが強調されている。
国土交通省という、これ以上ない信頼できる機関のサイトに載っている事から、他でもこれを流用、報道していてその影響は大きいと考えられる。
警察庁は長年、自転車の車道走行には慎重であったが、この資料の発表された2007年の有識者会議によってその方向性は覆されていく。

では検証していこう。
1ページ
表紙の次の1ページ目は自転車事故の発生場所が書かれている。
約7割が交差点での事故である。

ただし、言うまでもなく交差点内の事故は次の3種類に分けられる。
 ・歩道から進入
 ・車道から進入
 ・歩車道区分なしの交差点で発生

このグラフではその辺の内訳は一切分からない。

一方で交差点以外を見てみると、車道13%:歩道7%と倍近い差がある。

交差点内でも以外でも自転車の通行量が歩道と車道で違う事を考えに入れる必要がある。
例えば仮に車道よりも3倍の自転車が歩道を通っているとすれば、
車道の事故割合を3倍にして比較する様な調整が必要になる。

ここではそういった通行比率も分からないためほとんど安全性の比較は出来ない。




2ページ
画像

この資料作成者は
認知ミスが最大の事故原因で、そのため視認が難しい歩道の自転車のほうが危険
という論理を展開しているが、
認知ミスというのは例えば信号を見誤っただとか、カーナビを操作していた、一時停止標識を見逃した、ぼんやりしていた、雑談をしていたとか、当然相手が停止するものと思ったとか非常に幅広いケースが含まれている。

認知ミスについて詳しく解説したサイト→http://www.signal-net.co.jp/2011/12/post-527.html
認知ミスの内訳としては相手が物理的に見えなかった事よりも他の理由の方が多い。
さらに上のグラフを見ると認知ミス以外も38〜21%ある。

そしてこのグラフだけでは車道と歩道のどちらを走る自転車がどれだけ見落とされているかはさっぱり分からない。

このページまでのグラフでは、

■交差点で起きる事故が多い
■認知ミスが多い
という事は分かる。

しかし、どちらも車道と歩道に言及したデータでは無い。
これでは肝心な比較は一切出来ない。

結局、車道の有利性を言っているのはページ右側のオレゴン州交通省出典の特定のパターンの説明だけで、それはデータでは無いので有利の度合いも判らない。





3ページ
画像

3ページ目については言いたいことがたくさんある。

その前にこのページについて説明しておこう。

このページでは4つの事故パターンを取り上げ、それぞれどの場所を走っていた自転車が多く事故に遭っているかをパーセントで示している。
事故率を比較する際に、アメリカでは車道を走る自転車は歩道のそれよりも4倍も多いので公平に比較するために歩道の事故割合を4倍にして比較している。
一見公正な比較のように見えるが、まず最初に言っておきたいのはこの資料の元になった
米連邦交通省連邦ハイウェイ庁作成の「Pedestrain and Bicycle crash Type of the Early 1990's
(以下PBT90と略す)」
にはこの赤字で書かれた5.0倍といった事故確率については一切記載が無い。

日本の資料作成者が後から計算して加筆したものだ。
通行比率についてもこの資料には記載がない。
20:80つまり4倍という通行比率、他の資料と比べ非常に高いのだ。
例えばこちらのアメリカの報告書では歩道971:車道2005で2.06倍である。
http://www.bicyclinglife.com/Library/riskfactors.htm

なぜこんなに違うのか。

私はこの謎を解くのに3日もかかってしまった。
通行比率については5ページ目に説明がある。
画像

申し分の無い数字に思える。

しかし、この短い文章に3つの盲点がある事に気付かれただろうか。


ひとつ目はアメリカは車社会で自転車利用者は免許の取れない16歳未満が多い。
この出典になっているPBT90によれば自転車事故運転者の約50%は16歳未満だ。
(赤字は私が記入したもの)
画像

その16歳未満の回答が含まれていないのだ。
つまり必要な統計の半分を切り捨てている事になる。

そしてアメリカでは、ニューヨークなど多くの場所で13歳未満の子供は歩道通行が認められている。

上記のリンク先資料でも18歳以上だけを計算すると通行比率が4.5倍だが
全年齢では前述したように2.06倍である。

歩道通行を多くする年齢層をごっそり除外することによってずっと高い通行比率が得られるのだ。


そして2つ目の盲点。

この通行比率は全米で2002年に行われたアンケート調査「National Survey of Bicyclist and Pedestrian Attitudes and Behavior」による事が書籍「自転車利用促進のためのソフト施策」に書かれている。
画像

それによれば、最近の走行空間を質問しているが歩道のある場所における走行空間を尋ねていないため、歩道が無い場所なので車道を使っている人も、回答が車道に分類されている。

ここで必要とされる歩車道分離区間のデータとは言えないのである。
この通行比率は事故確率を何倍にもするため、事故件数の多少の差よりも結果に大きく影響する。

3つ目を付け加えるとすれば、日本では自転車は車道左端を走行するルールがあるが、アメリカでは自転車の通行位置が道路端とは限らない。
例えば、第二車線の直進レーンを使用したり、あるいは日本のような二段階右折をせずに道路中央よりの車線から曲がることができる。
歩道よりの車線を走る場合でも車線の端ではなく中央を走る事が広報されている。
この資料では車道走行を全て道路端として図で表現しており、明らかなミスである。

----------------

このページの検証に移るが、交差点の事故というのは本来無数のパターンがある。
十字路の場合自転車の動きは、直進、左折、右折の3パターンがあり、クルマの動きも4つの方向から進入してきてそれぞれ、直進、左折、右折する、道幅の組み合わせや、信号の有無、種類も併せて考えると非常に多くの事故パターンが存在する事になる。


このページと前述のページでいろいろなパターンを提示しているように見えるが、全て直進する自転車に対し、自転車に近い側の交差道路からクルマが進入してくるパターンだけである。
非常に限られたケースだけを取り上げていることに傾注していただきたい。
前述したように、実際は車線中央、あるいは道路中央よりを走る自転車も多いアメリカでは、このパターンは車道走行に有利ではないだろうか。

だが、隠されたトリックはそれだけでは無い。

左上のパターン。T字路のケースを含んでいると思われる。

事故確率5.0倍という数字が載っているがこれも正しいとは思えない。
通行比率の算出がおかしい事はすでに述べた。
画像

よく見るとこのパターンは道路の片側に歩道が描かれていない。
元資料によれば片側にしか歩道が無いケースも含まれている。(資料P84、両側に歩道がある8.4%、しかしそもそも正確な状況が分からないケースの方が多い)

片側にしか歩道が無い場合、歩道を利用したい人は、そこを走ることになる。

そのため全員が車と交錯する手前の車道を横断することになる。
一方、車道利用者の半分はほぼ安全な向こう側の走行ができる。
これでは確かに車道走行の方が安全だとは思うが公平なパターンではない。

こんなので良いのなら私も歩道走行が安全なパターンを作ってみた。
前述の丁字路の先に今度は反対方向に路地が延びる下図の様な丁字路があるとする。
画像

すると今度は歩道走行の自転車は絶対にクルマと接触しない。

無限に近い道路パターンと事故パターンから都合のよいケースだけを示して比較する事が、いかに滑稽な事か分かって頂けただろうか? 

次も同じことが言える。

書類右上のパターンを見てみよう。
よく見ていただきたい。
図の下半分だけを計算して1.1倍危険としているが、
画像

交差点から車が退出する時には車道走行の自転車の方が圧倒的に危険である事が分かる。
31パーセントという数字はとても無視できる数字ではない。
しかしその部分が計算から外れている。

総合的に計算すると通行比率4倍で計算しても15×4/82で1.37倍車道の方が危険となる。
さらに順走部分(交差点の右上と左下)だけに着目しても車道走行は非常に危険だ。

ちなみにこの計算から外された部分も事故分類上、出会い頭事故に分類される。
出会い頭事故が多いからそれだけを取り上げたという言い訳は通用しない。

左下のパターンも同じ事が言える上に、
通行比率が2〜3倍で計算しなおすと車道の方が危険になるかほとんど差は無くなる。

右下の赤信号での右折(日本では左折)は日本では許されておらず掲載する意味は少ない。
画像


にも関わらず他のよくある事故ケースは載せていない。
右直事故、左折事故いずれも多い事故である。

調べてみると出典元には載っているのである。
画像

そして通行比率を4倍で考慮してもやはり車道の方が危険である事が分かる。

さらに問題なのは「なぜ比較的多い事故ケースである右直事故の図を掲載せず、日本では基本的に禁止されている赤信号での右折を掲載しているのか?」という点である。
図中のn=176と言う数字。これは調査におけるこのパターンの事故の総数を表す。
176件起きていて前出の2つ事故パターンよりも多く発生している。

出典元にはたくさんの事故パターンが載っている。
全部見ても車道と歩道のどちらがより安全なのかは私には分からない。
ただひとつ言えるのは、この資料は自説に合うパターンだけを選び、さらに一部分だけを計算しており客観的公平性を欠いているという事だ。



4ページ
画像

この4ページ目で作成者が言おうとしているのは、
「前方を走行中の自転車は十分に認識できるから事故は起こりにくい」という見解である。

しかしこの理屈が本当なら起きにくい筈の事故が、実際には多く発生している。

日本の事故でもっとも多いのは自動車同士の追突事故で、原因は多い順に、
他の物に集中していた(カーナビや携帯など)、脇見運転、眠気、飲酒運転、急病、ぼんやりと続く。

先方車を見逃した理由は「見ていなかった」が86%にもなる。
ちなみにこれらも全て認知ミスに分類される。

クルマから見える所を走れば安全と思っている人も多い様だが、「見える」と「本当に見てくれているか」は別物なのである。

そして自転車への追突事故は極めて致死率が高い事も覚えておいていただきたい。
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歩道では出会い頭事故が多いとされているが、その10倍の致死率である。
加えて出会い頭事故は多くが自転車側の安全運転で回避できると思われるが、
直進中の追突事故はほぼ回避できない。
なぜなら追突事故の自転車側の違反率は18%と少ないからだ。
(イタルダインフォメーションNo.88より)

追突以外の事故ケースにおいても車道は死亡・重傷の割合が高く、対四輪車では歩道通行の約6倍、交差点事故の8倍以上にもなる。
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交差点や歩道はスピードが下がっているため死亡重傷事故の割合は低い。

前述のアメリカの報告書PBT90でも
P121−Thus the most severe crash types were all of the parallel path variety, where speed is likely greater than at intersections.
「このようにもっとも深刻な事故は交差点より速い速度の出ている車道並走時に起きている」

P82−Not surprisingly, it would thus appear that speed of traffic was related to these A+K injuries.
(歩道よりも車道・路肩の死亡重傷率が高い事を説明した後に)
「驚くにはあたらない、交通の速度が死亡重傷事故率に関係があると考えられる」

P84−Overall, cashes where bicyclists were using a sidewalk produced less than their share of serious and fatal injuries.
「全体的にみて、歩道を使用したときのほうが死亡・重傷事故の割合は少ない」

日本の報告書ではこの重要な部分には触れず、単路部分はほとんど心配いらない。というスタンスである。

何度もいうようだが特に危険を感じる場所では車道走行自転車はさらに少なく、事故割合が低いのは当たり前だ。

1ページ目の円グラフによれば歩車道区分ありの車道単路で起きる自転車事故は13%。
加えて交差点内の追突・追越時事故も数パーセントある。
歩道走行している自転車が全て車道を走った場合、計算上だがその割合は何倍にもなる。
そして死亡重傷率が交差点事故の約8倍。
進行中の追突は致死率10倍。
安全運転をしている自転車も回避できずに巻き込まれやすい、という事を考慮するととても無視できないのである。




5ページ
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5ページ目についてだが、
アメリカの調査によると、歩道通行は車道よりも6.7倍事故率が高いとしている。
そしてグラフの下には[出典]:連邦交通省全国ハイウェイ交通安全当局資料と書かれている。
おそらくこのページを見た100%の方はアメリカ当局が「6.7倍歩道通行は危険」という調査結果を発表していると思うのでは無いだろうか?

実は違う。 まったく違う。
非常に誤解を生む書き方である。

アメリカの資料〈PBT90〉では3000件の事故の場所、車種、道路の幅、運転者の年齢や性別など非常に細かく分類し、その割合や件数、傾向が記載されているだけで少しも掲載のグラフの様な調査結果は記していない。

「アメリカの調査によると」というのは、例えて言うなら私が警察白書や警察の事故統計を使って勝手な自由研究をして自論を構成し、それを「警察庁の調査によると○○である事が判明している。」という言い方で発表するようなものなのだ。

6.7倍というのは日本の研究者がここに記載されている数字と別の資料を組合せて独自に導きだしたものである。

その数字というのは一つ目が歩道が存在する区間で発生した事故件数が743件であること。
事故は3000件を対象に調べているが事故の記録に歩道があったかどうか不明の場合もあるので、
記録がある2,891件を調査に有効な事故総件数としている。
画像


次にそのうち歩道通行の自転車がどれだけ事故に遭ったかが問題になるが、これは下の事故調査の数字を採用している。
歩道を使っていたかどうか? YESは465件だ。(P83より/赤字は私が記入したもの)
画像


これを見ておかしな事に気づかれただろうか?
事故件数の合計が総事故件数2,891よりも多いのだ。

総事故件数は2,891件なのに歩道の使用の有無は事故2,921件に対する答えだ。
こんな統計はありえない。
当然、歩道上の事故件数は不当に多く見積もられる事になる。

さらにこの歩道使用の有無については次の補足がある。

P84−no necessarily being struck in this location
「衝突した場所が歩道である必要は無い」としており、どこまでを歩道を使用しての事故としたのか曖昧さが残る。

このあたりは事故統計の収集から分析まで同じ機関で行われたのなら、統計の問題点に配慮しながら分析できるが、
何度も言うように、この調査結果は日本の研究者がアメリカの事故データを本来想定されていない目的に流用して作成したものである。
先ほどの事故の総件数が一致しない点などを含めて、統計として公に発表できるレベルの物ではない。

これらの数字に通行比率をかけて6.7倍という調査結果を算出しているが、通行比率の算出がおかしいのは先ほども述べたとおり。
すでに述べた死亡重傷事故率の高さを考えると車道走行を手放しに圧倒的に安全と広報するのはいかがなものか?

そして重ねて言いたいのは元のデータがアメリカのデータである事だ。

通常、外国との事故率の差異を理由に日本の自転車政策に提言をしている研究者が、
こんな時だけ外国のデータを日本も同様だとして利用すると言うのもおかしな話だ。 

アメリカの自転車安全マニュアルによれば、確かに車道走行をすすめる文章もあるが、同時に
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歩道寄りを走ると危険な追い越しを受けるので、車線の中央寄りを走り、自動車には車線を変更して追い越してもらう事が基本Tipsとして説明されている。
他に赤信号でも右折が可能な点や、右折や直進レーンが使える事、自転車用の停止線が設けられているケースも多い。
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これらが安全性にどう影響するかは分からない。
しかし市民の生命に関わる事だけに、安易に「日本も同じ」とは言うべきではない。

整理してみると

■歩道通行自転車の事故件数を割り出すのに完全な過誤がある事。

■通行比率の算出が不正確な事。

■車道の死亡重傷率は高い事。

■日本と車道の走行環境、交通ルール・習慣が違う事。

■歩道でも自動車と同方向に走ると安全性が高くなる事。
 (歩道・車道の差ではなく交互通行か否かの差ではないのか?)

以上の理由から、このデータは参考に値するものとはとても言えない。

では何故アメリカのデータを使うのか?
日本には交通事故統計の調査機関が存在しないのか?

そう思った方は鋭い。

日本には交通事故総合分析センターが存在する。
自転車事故についても数々の分析報告を行っているが、
総合的にみて「車道の方が安全」と言うような見解は出していないのである。

そこで車道の安全性を訴える人は外国のデータを取捨選択し操作するしかないのだ。





6ページ
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6ページ目はカナダ ケンタッキー大学の論文である。

先にこのページのデータがどの様に算出されたかを説明したい。
分かりやすく言うとこれらは主に通勤で自転車を利用している人々へのアンケートから算出している。
例えば往復5kmの自転車通勤をしている人が年200日出勤していて勤続1年だとすると、今までに1000km走った事になる。
その間にどんな事故やケガをどこで
何回経験したか、車道と歩道のどちらを使用しているかを回答してもらう。
こういったアンケートを3000人分近く集め10万キロあたりの事故率を求めたものである。

この方法なら今まで述べてきた通行比率の問題もクリア出来ているし事故件数だけでなくケガの程度も分かる。

グラフを見るとたしかに車道の方がすべての面で明らかに安全であることが分かるのだが、
出典元の論文をみるとおかしな事に気がつく。

それはこのグラフ作成の元になった表だがトロントとオタワの二つの都市が併記されているのである。(下の表参照)
日本のこの資料ではトロントだけを取り上げオタワの事は少しも触れていない。

日本が都市部しか存在しないのなら、より大都市のトロントのみ取り上げるのも分からなくは無いが、もちろんそんな事は無い。
全国の自転車政策の根拠にするならオタワのデータを省くのはいかがなものか。
掲載スペースも充分にあって言い訳にならない。
画像
(赤字は私が記載したもの)
オタワの統計を見ると衝突事故は歩道の方が少ない。
転倒と負傷は歩道の方が多いが衝突件数が少ないところを見るとこの負傷の多くは転倒によるものだと分かる。

特に注意してみて欲しいのは重傷者が歩道走行では0人である事だ。(NA=Not Applicable 該当者なし)
これくらい誤差と思う方もいるかも知れないが、もっと多くの重傷者数を10万km当りに直しているので誤差は少ない。
そしてここまでくるとこの調査の限界、「死者はアンケートに答えられないため重要な死亡率が分からない」という点が大きな欠点として見えてくるのである。


いずれにしても、オタワの調査において社会生活を離脱することなく平穏な暮らしを送れているのは、歩道走行をしている人々である。と言えようか。

もう一度6ページ目の冒頭の文章を読んで欲しい。
画像
そうでないデータは切り捨てたのだから当たり前だ。

さらに出典元の論文には次のように述べた部分がある。
http://www.bikexprt.com/bikepol/facil/sidepath/research/Aultman-Hall.pdf (11ページ)
In addition, both Toronto and Ottawa have been identified as bicycle-friendly urban areas by many sources (although in different ways). These factors could result in the on-road incident rates being lower than might be found elsewhere.
「加えてトロントとオタワは両方とも自転車に優しい都市であるとたくさんの情報源から認定されている。
他の場所よりも車道の事故率は低い結果になる可能性がある」としている。

やはり日本の政策に使うには疑問符が付く。





7ページ
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7ページ目は車道には自転車走行できるスペースがあるということを視覚化しているが、作図が正確でなく、自動車の幅を表す2mよりも走行空間の1.5m〜1.75mの方が広かったりする。
こういった作図は正確でないと意味が無い。

この図の問題点について、私よりも深く掘り下げてブログで指摘している方がいる。
http://perfect-comes-from-perfect.blogspot.jp/2014/08/2_17.html



さてここまででこの資料の検証は終わりである。
最後に少し勘違いしている人も多いようだがこの資料は国土交通省作成ではない。

国交省と警察庁が設置した「自転車利用環境のあり方を考える懇談会」において、
一人のメンバーが作成したもので、国土交通省のホームページにあるものの国の公式見解などでは無い。

ただしこの資料の影響を色濃く受けて懇談会の報告書は作成され、それを踏まえて近年の自転車施策は進められている。

そのメンバーとは「古倉宗治」。 京都大学大学院講師。
車道が危険というのは妄信だと説く。

国や自治体の会議に非常に多く呼ばれ大きな発言力を持つ。

車道の方が安全だという話は、
いろいろな所で目にするが根拠の元をたどるとこの人たった一人の説に行き着く。

しかしここまで説明してきた様に資料の内容には大きな疑問が残る。
誤解を生む記述、普通では気が付きにくい統計の盲点の利用があり、
人命がかかる重い決定の礎とするには公平性を欠いた論拠では無いだろうか。

そしてもうひとつ大きな問題点。
この資料は国交省のサイトに掲載され、多くの人が国の公式な見解だと誤解している。
様々な有識者会議では会議の透明性の観点から、委員個人の作成資料を省庁HPに載せる事は珍しく無く、
それ自体は何の問題も無い。

しかしこの資料は作成者がどこにも記入されていない状態で掲載され、多数の第三者がリンクを貼り、国交省の調査研究によるものとして多くの人に広まっている。
古倉氏が理事会メンバーを務める自転車活用推進研究会のホームページでも国交省資料として論拠の柱を担っている。
http://cycle-tokyo.com/
メンバーが作成したものを一旦公的機関HPに掲載し、公的機関の資料として紹介する手法に
問題が無いとは言えないだろう。

こういった一連のプロパガンダは、自転車活用推進研究会のメンバーにより分担して行われている。
恣意的で誤解を生み易いが、捏造ではない資料を作る者。
その資料を「誤解」したまま広報するツーキニストやジャーナリスト。
どちらも糾弾された時の逃げ道を持っている。



最後に本当の公的見解、平成23年末に作られた資料[警察庁データを基に国交省で算出]をみてもらって終わりにしたい。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kisei4/5_shiryo2.pdf 6ページ目
画像

東京都内の国道254号の調査を元に
「道路状況・交通状況により車道側が安全な場合と歩道側が安全な場合があり、一概にいずれが安全ということは言えない。」としている。

「もっとたくさんの場所のデータを集めれば歩道の方が危険なはずだ」と思う方もいるかも知れないが、
それぞれの場所のそれぞれの結果が重要で貴重なのであり、混ぜてしまって出来るビッグデータに意味は少ない。

例えて言うなら、明日の降水確率だって全国平均を言われても役に立たないのと同じだ。

もちろん車道を走るか歩道を走るかは安全性だけで決められる物ではない。
原則車道走行のルールを尊重して車道を走っている方も多いと思うが、そんな方たちこそ恣意的なデータの流布には義憤を覚えるべきでは無かろうか。

車道走行の方が安全という 「妄信」 に騙されず命を大事にしていただきたい。

-----------------------------


自転車は本当に車道のほうが安全なのか?
http://otenbanyago.at.webry.info/201406/article_1.html

車道と歩道の事故率 毎日新聞を検証
http://otenbanyago.at.webry.info/201409/article_1.html

有名なあの図を検証する。
http://otenbanyago.at.webry.info/201510/article_1.html

このページの情報の流用、リンクは自由です。

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